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Y2K コンピュータ西暦2000年問題


Y2Kリスクマネジメント


 国内大手の監査法人トーマツは欧米で活動する会計監査事務所と国際提携しており、海外ではデロイト・トゥーシュ・トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu)という名で知られている。そのトーマツのコンサルティング部門がトーマツ・コンサルティング(TCC、東京都港区)だ。昨年秋、トーマツ・コンサルティングはもともと危機管理のコンサルティング部門があった電通パブリックリレーションズ(電通PR、東京都中央区)とリスクマネジメントに関して業務提携をして、今年4月8日、「Y2Kリスクマネジメント」の業務を開始した。
 同社取締役・大矢哲夫氏にその事情をお聞きした。
「一言でいえば、今後日本でリスクマネジメントが必要になるだろうということです。
 欧米では日本以上にリスクマネジメントがビジネスとして成立しています。米国のデロイト・トゥーシュも、リスクマネジメントは非常に大きな分野となっており、その売上はコンサルティング部門全体の20〜30%を占めています。それに比べて、これまで日本企業がリスクマネジメントにかけるコストははほとんどゼロに等しかったのです。


 Y2Kに関しても、アメリカではかなり対策が進んでいますが、日本ではマスコミ報道で騒がれてはいたものの、一般的な企業は意識は決して高いとはいえません。さすがに、金融機関、あるいは通信・電力・ガスといったインフラ関連の事業所の意識は比較的高いのですが、一般の日本企業が力を入れた対策をとり始めたのはごく最近のことなのです」 それでも、Y2K対策として自社のシステムのチェックを完了するというレベルのものが多いことを大矢氏は指摘する。
「自社のシステムや製品に関して対策をとっていれば安心、ということではないのです。Y2Kは自社の努力だけでは、解決することができない問題なのですが、日本の経営者は概してその視点が抜けています」
 自社のコンピュータシステムの対応だけが完了しても、それで安心することはできない。今やコンピュータシステムは互いに依存し合っている。すべての調整が完了しなければ、対応していないたったひとつのトラブルがネットワークを通じて波及していく可能性があるのだ。


「Y2Kのトラブルがどれくらいの規模で、どこで、どのようにして発生するのかは分からないが、今やこれだけのネットワーク社会なのですから、何かが発生するのは間違いない。そういう前提で、準備をしていくことが必要です。他社とのデータ交換などネットワークを通じて、外からの影響を受けたとき、何をするのかという対応を今からきちんと考えておくべきなのです」
 また電子機器に埋め込まれたマイクロチップというやっかいな問題もある。
さらにY2Kによって混乱したインフラや金融機関、関係企業の影響によるリスクも考えられる。
 そのような様々なトラブルによって、ビジネスが停止、遅滞、混乱する。あるいは埋め込みチップの入った欠陥商品が起こす。そういった問題が発生したとき、少なくとも自分の会社はきちんとY2K対応をしていたことを証明できる資料を準備しておくことが不可欠だ。


「われわれのコンサルティングの最終的なターゲットは、万一、訴えられたとき、正当性を主張できるようにしておくということです。
“最善の努力はしていたが、不可抗力によって被害が発生してしまった”と第三者に示せるような、客観的で体系づけられた資料。
それを記録して、残しておかなければ、裁判になったとき、無実を証明することができません。またせっかく書類を残しておいても、それが証拠として価値がないようなもみのでは意味がありません。われわれが行っているのは、その整備を支援をするコンサルティングです」


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