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Y2K コンピュータ西暦2000年問題


拡大していくY2Kのリスク

 Y2Kによって引き起こされることが想定される企業のダメージとして、
以下の3つが考えられる。


1 直接的損害によるダメージ
 Y2Kによって引き起こされる直接的なダメージとして、ひとつには、自社のシステムが停止、あるいは混乱して、損害が発生してしまう被害が考えられる。もうひとつはY2K対応をしていない自社製品が顧客などに損害を与える損ことだ。
「たとえば卸業なら、Y2Kによるトラブルによって、納期通りに商品を収められないという事態になれば、ペナルティが発生する。
大規模な企業であれば、その金額は何千万円にもなるでしょう」
 その他にも、受発注が停止する、物流が滞る、手形が登録できないなど、どこで何が起こるか分からないほど多くの具体的なリスクがいくつも想定できる。
 さらにY2Kによるダメージはそのような直接的なものから拡大していく。


2 訴訟によるダメージ
「Y2Kが引き起こすことが想定される中で、最大の経営上のリスクは訴訟を起こされることです」
 損害を被った取引先、得意先、ユーザー、株主などから損害賠償請求などの訴訟が起こされる可能性があるということだ。当然、訴えられることにより、裁判費用や賠償金といった金銭的なリスクがかかってくる。今や世界を仕事の場としている日本企業が訴訟を起こされるのは、日本国内ばかりではない。
 英国の保険会社ロイズによる、
Y2Kから派生する訴訟は全世界で1兆ドルを超えるだろうと試算もある。
「裁判によって、Y2K対応を怠ったと判断されれば、経営者はそのような事態を招いたとして、株主代表訴訟で責任を追及されることにもなりかねません」
 アメリカではすでにY2Kに関連する訴訟が起きている。レジスターのメーカーが訴えられたり、システムの開発を請け負ったけれど、失敗したコンサルティング会社が訴えられたりしている。


「Y2K対策にしても、実際にソフトをいじって、“これで大丈夫です”というように、保証を与えるような対策を業務にしていた場合、何かが起こった場合、訴えられるリスクがありわけです。もちろん何事にもリスクはつきまとうものですが、今回のY2Kに関しては、発生する確率がきわめて高いという判断から、われわれは実際にコンピュータソフトを直す作業にはタッチしていません。またリスクはいくら対策をこうじても発生する確率はゼロにはなりません。われわれのスタンスはリスクを減らすための最大限の努力をするということです。 ご契約いただいたクライアントに対しては“最善の努力をはらって、第三者の目で、これだけ体系的にチェックしていけば、裁判で非常に強い武器になります”という言い方はしますが、“これをやっておけば、間違いなく裁判に勝てます”とは言いません。それを口に出せば、再び法的リスクが発生することになるからです。今回に関してだけは、契約書に“最善の努力はするが、保証するものではありません”という一文を入れさせていただいていますが、それだけY2Kのトラブル発生の可能性は高いということです」


3 企業イメージ、信頼感ダウンによるダメージ
 訴訟によって損害賠償などの金銭的な損害だけでなく、対外的な信用や社会的な位置づけといった面で、非常に大きなダメージをこうむることも考えられる。
「それは賠償金の何十倍にも匹敵するような、あるいは金額には換算できないほど大きな被害にながる可能性もあります」


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