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Top Interview
実務を知る教官


アメリカの大学では、教授、助教授が社会的に影響のある重要なポストに就くことがあるようです。キャビネット・メンバーになることもあるようですが、日本では、弁護士は大学の教授になれません。その相違をどう思われますか?
    チャールズ
    「アメリカの状況はまさに日本とは逆です。私の前任の法学部長はアメリカの公正取引委員会の委員長に就任しました。別の仲間はホワイトハウスの法律顧問になっています。
     また現役のフルタイムの法学部教授の間にも取決めがあり、週に1日は別の仕事をしていいことが認められています。私は国際通貨基金や世界銀行のコンサルタントの仕事をしていますが、普通の弁護事務所で1日、活動してもいい。私の仲間のひとりは民事の調停委員として、仲裁の仕事をしています。その制度によって、大学で教えていることと、実際の世界の法律家としてプロとして仕事をすることが両立しているのです」
それはまったく正しい方法だと思います。現に動いている社会でのルールを教えるのでなければ、ロースクールで教える意味がありませんからね。
    チャールズ
    「現実をきちんと知り、きちんと処理できるうえで、教えるということは重要だと思います。ヨットに例えれば、実務をまったく知らずに法律を教えるのは、自分では1度もヨットを操縦したことがないが、この紐を引けば、こう動くという理屈は本を読んで知っているという人がヨットの操縦を教えるようなものではないでしょうか。いささか極端な比喩かもしれませんが」
いえ、まさにおっしゃる通りだと思います。
    チャールズ
    「私たちの教育が現実的を目指していることをご紹介しますと、学部の中にシンクタンクを設けています。それでは現実的なテーマを持たせて、そこに学生も参加させて、国際的なタックスや労働法など、実務的なものに教官も学生も参加してやっていくためのシンクタンクを作っています。また私たちの学生活動のひとつにロビイスト演習があります。昔流の悪名高いロビイストのように金をばらまくということではなく、本当に法律的な努力によって、実際に政策を動かすということです」
これまで日本では、純粋に政策論で議員を説得することが少なすぎました。現在、日本の大学も先生がおっしゃるような形に変えていかなければならない。そのような過渡期にあります。大学における法曹教育も会計教育も同様に実践化しなければなりません。そうしませんと、日米の間に距離ができすぎれば、アメリカにとっても望ましくないでしょう(笑い)。法曹教育にしても、今までのアカデミックな社会科学から、アングロサクソン的な実務レベルに変えて、レベルアップしていく方向をとらなければなりません。ぜひチャールズ教授にも、いろいろご指導いただければと思います。
    チャールズ
    「私もお互いに実質的な情報の交換をしていきたいと思います。ワシントンにお見えになりましたら、ぜひお越しください。幸い、私たちの学部からはいろいろな人間が出ています。司法界にも行政府にも仲間がおりますから、必要であれば、人材も紹介いたします。本日はこのような貴重な機会を与えていただき感謝します」
本日はありがとうございました。


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