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特集1
中小企業政策の大転換


--昨年の臨時国会は“中小企業国会”と呼ばれたほどで、中小企業基本法の改正をはじめ、多くの重要法案が成立しました。
「昨年9月22日、内閣総理大臣の諮問に対する中小企業政策審議会の最終答申がまとめられました。それを受けて、昨年の臨時国会で中小企業基本法の改正(「中小企業基本法等の一部を改正する法律案」以下、新基本法)が成立し、昨年12月3日付けで公布されました。また臨時国会に提出された中小企業関連の法案(注2)もすべて成立しています。法
改正の作業が続いたため、昨年の秋から中小企業庁の担当部署である指導課の方々はほとんど徹夜続きで仕事をされたようです」
--一連の制度改革を通して、日本の中小企業政策はどのように変わろうとしているのでしょうか?
「これまでの旧基本法で政策の前提となっていた概念は、中小企業というのは『経済的社会的弱者』であるということです。賃金などの労働条件・生産性といった面で大企業との格差がある存在であり、官としては、それを指導し、高め、大


企業との格差を是正していかなければならない。それを理念として、50年間、政策が実施されてきたのです。
 しかし、今や経済構造が大きく変化しました。中小企業の範疇から大企業も及ばないようなナンバーワン企業がたくさん出現してきたわけです。簡単にいえば、今さら官が中小企業を『弱者』として扱い、『指導』しようというのは、おこがましいのではないかということになったのです。また日本の景気を浮揚させるためにも、中小企業の活力が必要だという方向
が打ち出され、今回、中小企業基本法が抜本的に改正されることになったのです」
--新基本法によって中小企業政策はどのように変わるのでしょうか?
「これまで施策の目的は『大企業との格差の是正』に置かれていましたが、それが『独立した中小企業の多様で活力ある成長発展』というものに代わりました。
 また中小企業に対する認識も、従来の『大企業に比べて遅れた存在』から『我が国経済のダイナミズムの源泉』(新基


本法第3条は中小企業を我が国経済のダイナミズムの源泉として以下の役割を期待している。(1)市場競争の苗床、(2)イノベーションの担い手、(3)就業機会創出の担い手、(4)地域経済発展の担い手)ととらえ直されました。
 新基本法におけるもうひとつの大きな改正点は中小企業の定義が変わり、適用範囲が広げられることになったことです(表A)。例えば、資本金に関しては、これまで1億円以下でしたが、これが3億円以下に引き上げられました(製造業その他)。
 この改正に伴い、日本の中小企業の数は一気に約1万6000社増えることになります。従来は中堅企業と規定されていた範囲まで中小企業の概念がひろがり、公的支援もその範囲にまで拡大されるということです」


注2 「関連法案」
昨年の臨時国会で以下の法律が成立した。
「新事業創出促進法の一部を改正する法律」(平成11年12月14日成立)、
「中小企業の事業活動の活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律」⊥中小企業信用保険法及び信用保証協会法の改正、⌒中小企業金融公庫等の改正、∂中小企業近代化資金等助成法の改正、∇中小企業団体の組織に関する法律の改正、≡中小企業の創造的事業活動の保進に関する臨時措置法の改正。(平成11年12月14日成立)


表A [中小企業の範囲の変更]
※中小企業金融公庫等においては、政令により旅館業は資本金5000万円以下または従業員200人以下、 ソフトウェア業、情報処理サービス業は、資本金3億円以下または従業員300人以下を中小企業とする。

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