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特集1
アジアで注目される制度


--規制緩和という流れの中、士業の業際問題が浮上していますが、中小企業診断士という資格には業務独占がないわけですね?
「弁護士や公認会計士、税理士といった他の資格にはそれぞれ職業独占がありますが、確かに中小企業診断士には職業独占がなく、そのことがこの資格の大きな特徴となっています。コンサルティングという職業は何の資格がなくてもできます。極端な言い方をすれば、コンサルタントと名乗りさえすれば、仕事を始めることができるわけです。
 しかし、職業独占がないとはいえ、中小企業診断士の制度ができた経緯(注1)があり、また中小企業診断士という資格には公的な位置付けがあるわけです。
 戦後間もなく、日本を復興していくためには中小企業の力が肝要であるということから、昭和23年に中小企業庁が発足し、同時に中小企業診断の制度がスタートしました。当時の中小企業政策の目的は大企業と中小企業との格差を是正することであり、中小企業に経営体力をつけることでした。その目的達成のため


に『指導』『組織化』『金融』が三本柱とされました。その『指導』の部分を担うべく誕生したのが、中小企業診断士の制度です。国や都道府県、市区町村が中小企業を指導しようとするとき、とても公務員だけでは手が足りない。そこで中小企業診断士という公的制度を作り、その資格者たちに助けを求めようということになったわけです。行政による中小企業施策の実施を助けることを目的として発足してから、戦後50年やってきたわけです。
 今、この方法が、戦後の日本の奇跡的な経済復興の原動力のひとつであったと
の評価が高まって、アジア諸国の中に、これを見習おうという動きが出ています。私も昨年11月、タイの国家プロジェクトである中小企業経営診断指導のために現地を訪問しました。今年から来年あたりにかけて、中国でもそういう動きが出てくるかと思います。
 一方、本家本元の日本の現状はどうかといいますと、中小企業診断士の制度が誕生してから、半世紀を経て、中小企業政策の大転換を迎えようとしているのです」


注1 「中小企業診断士の制度ができた経緯」
昭和27年に中小企業診断を行う者を登録する制度として「中小企業診断員登録規定」が通産省から告示された。続く昭和38年には中小企業指導法が制定され、中小企業診断員を国家資格として民間に門戸を開いた。


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