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ワンストップ・サービスの実現


--士業がコンサルティング業務を行うための組織形態に関してお聞きします。昨年、関係各省庁が総合的法律経済事務所の開設は現行法で可能との見解を出しました。これについては、どうお考えですか?
「それを実現する上で、弁護士自治という問題があります。弁護士は公権力からの自由を勝ち取っていますが、他団体は官庁が作り出した資格制度で、その監督下にあります。行政書士なら、都道府県知事に立入検査権がある。自治が侵されるとして、そういう事務所は作りたく
ないという弁護士側の見解があるのです。
 しかし、個々の資格者が自らの業務範囲内だけでやっていては、もう社会のニーズに応えていくことができません。依頼者が色々な資格者を順番に回らなければならない現状を、1カ所ですべてが済むようにする。いわゆるワンストップ・サービスを他の士業との共働して提供する。また24時間、365日営業の世の中に対応して、サービスのシームレス化を実現することが求められています。
 他の士業との連携を進める上で、行政


書士に兼業者が多いということがメリットになるのではないかと思います。行政書士になれる資格者として弁護士、公認会計士、税理士があるわけで、逆にいえば、みんな日行連の会員です。事実、都道府県などから依頼を受けて行政相談会などを実施するとき、行政書士会なら単独でフルメンバーをそろえることができます(笑い)」
--企業コンサルタント業務について、21世紀に向けての展望をお聞かせください。
「司法制度改革に関して、東京商工会議
所が意見書を出しています。その中で、裁判に関して、専門知識を有する行政書士を弁護士と組ませることで活用すべしとしています。低廉で、気軽に頼めて、日常付き合っている中小企業者の味方としての実績が反映されたものと思います。
 また国会の衆参両院には中小企業を対象とする委員会がありません。これを立ち上げるべきだとの要請をとりまとめている財団法人がありますが、そういうところと組んで、中小企業の問題を議論する場を国会に作る活動を行う。そのよう


な取組みも必要でしょう。
 行政書士は国民に最も身近なところで活動しているにも関わらず、他の資格制度に比べて認知度が低いのではないかと思います。税なら税理士、特許なら弁理士と分かりやすいが、私たちはきわめて幅広く仕事をしているため、イメージをつかみにくいこともあるのでしょう。行政
書士をうまく活用している企業にとっては、これほど便利な専門家はいないと思います。しかし、多くのユーザーは何かあると、弁護士のところに行ってしまう。司法制度改革審議会への要望であるとか、NPO活動、日常業務を通して行政書士の活動を知っていただく。その努力を地道に続けていきたいと思います」




もりたけ・たかし

昭和48年、行政書士登録。滋賀県行政書士会入会。平成元年、滋賀県行政書士会会長。平成9年、日本行政書士会連合会会長。平成10年、自治省「行政書士制度あり方に関する懇談会」委員。平成11年、次世代ICカードシステム研究会顧問、NPOネットワーク行政推進機構理事。

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