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「囲い込みながら、手を染めない」


--コンサルタント業務をする上で、法制度の面での問題はありますか?
「弁護士の業務独占の問題があります。日常的に私たちは内容証明を多く作成します。その際、相談にのって手続してさしあげたいけれど、それは弁護士法違反だとされ、行政書士が単独で法律相談を受けるのではなく、弁護士と協力して依頼者にとって最適な答えを出すべき、ということになっています。
 では、弁護士がすべてのトラブルを引き受けているかというと、現実には受けていない分野があるのです。現在の弁
護士業務見直し論議においても、その指摘がほとんどありません。大抵、法廷のことを想定していて、正確な弁護士の業務領域の分析ができていないと思われます。
 例えば、交通事故の示談です。少額事件で、しかも数は非常に多い。多くの弁護士はそれをいちいち受けているとルーティーンワークのようになって、それだけに追いまくられてしまうと、自分では手掛けず、示談代行にするわけです。最終的にはチェックしているとは言いますが、現実には支払者側の示談代行で終わるこ


とが多いのです。しかも加害者が示談代行付保険に入っていると、被害者が請求したとき、支払者側の保険会社のアジャスター(調停者)が出てきて、『これだけしか払えません』と値切られる。
 われわれとしては被害者の立場から、保険の枠なりを利用して、もっと支払わせるために示談に介入したいのですが、それも弁護士法の規定のために不可能です。法律によって弁護士が囲い込んでいながら、自らは手を染めず、権利のみ確保している。他の士業は弱い立場にある人をみすみす救えない。そういう分
野がいくつかあるのです。
 遺産相続についても、私たちが相談に乗れば、弁護士法違反になってしまいます。例えば亡くなった方が所有していた自動車は不動産扱いで、遺産相続の手続きとして遺産相続分割協議書を作成します。売れば5万円の自動車でも、弁護士に頼むとかなりの費用がかかるわけです。その点、行政書士が自動車登録手続で末梢すると5000円です。法律的に見れば、遺産相続分割協議書は弁護士の業務領域ですが、われわれにとっては廃車という手続きのひとつに過ぎないの


で、格安に、同じ目的を達することができるのです。
 その点が、司法制度改革審議会に対して最も訴えたいところです。私たちは何も新たな利権を取ろうということではなく、依頼者のために、1000円なら1000円、2000円なら2000円の仕事をして、法律違反と言われないように、法的な担保を与えていただきたいということです」

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