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民と官に対するコンサルタント


--行政書士はどのようなコンサルタント業務を行っているのでしょうか?
「私たちの本来の業務は権利義務事実の証明や官公庁に提出する書類の作成などで、コンサルティングはそれに付随して発生してくる業務です。行政書士は民と民、民と官をつなぐ仕事をしており、コンサルティングにも、民に対するものと官に対するものがあります。民の場合、まず開業の際の手続関係業務です。例えばパチンコ店などは半径500メートル以内に病院や診療所、学校があると開業できないといった制限があります。その他、立地を制限する規制として用途地
域、線引き(注1)などがあります。開業に際しては、立地を希望する場所が各種条件に適うかどうかの調査をします。その段階でミスを犯すと、資金をかけて開業準備をしても、風俗営業法上の申請はしたものの、他の法律で引っかかって開業できないということもありうるわけです。
 また、許認可は申請行為が完了した時点で業務は終わるわけですが、中にはルーティンな業務もあります。一定期間ごとに報告する義務があるとか、常に一定の条件をクリアしていなければならないといった規制に関する業務です。風俗


営業等取締法の都道府県条例によって営業時間や営業所の構造、設備や何時以降は営業してはならないとか、接客で酌をしてはならないといった細かい指導が出ることがありますから、それに注意していて、適切なアドバイスしないと、知らぬ間に違法行為を犯していたということもあります。
 日常的な人間関係の中で企業経営者に信頼されて、様々な相談を受けることもあります。最小限の費用で最大限の効果を上げられるような仕組みをアドバイスするといった利益追及のためのコンサルティングもありますし、ときには事業の
後継者である二代目、三代目の教育・育成といった相談をもちかけられることもあります」
--官に対するコンサルティングにはどのようなものがありますか?
「これも様々ですが、ひとつ実例をあげれば、自販会社による車庫飛ばし事件が続発したとき、県警本部から県の行政書士会に対して、セールスマンが売らんがために違法行為をしないよう、車庫証明や保管場所の確保について指導してほしいとの要請がありました。またパブリックコメント制度(注2)ができました。新たな規制を設けるとき、広く国民一般に


意見を求める制度ですが、行政書士は専門的立場からの意見を求められます。また既存の制度に対しても、改善を具申することもあります」


注1 「線引き」
「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」である市街化区域と「市街化を抑制すべき区域」である市街化調整区域に区分する土地利用計画・規制。

注2 「パブリックコメント制度」
規制改革推進3カ年計画の一環。政省令で新たな規制を設ける際、事前に公聴会などを開催して民間の意見を反映させる制度。

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