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企業法務
法曹一元に注目する理由

まず御社の業務内容からご説明ください。
    小島
    一言で申しますと、半導体を作る機械を作っている会社です。カリフォルニア州のシリコンバレーにアプライド マテリアルズ インクという会社があります。半導体製造装置の分野では世界最大とされる会社ですが、私が勤務するアプライド マテリアルズ ジャパンはその100%子会社です。
今、司法制度改革の審議が本格的に始まろうとしているわけですが、この審議の結果は民間企業の活動にも影響を与えるはずです。民間企業で法務をご担当されているお立場から、司法制度の改革について注目されている点をお聞きしたいと思います。
    小島
    司法制度改革審議会で、どの問題がどこまで突っ込んで審議されることになるのか詳細に承知しているわけではありませんが、新聞などで知る範囲の情報をもとに、企業の法務部にいる者として、どう見ているかを申し上げます。まずもっとも興味があるのは法曹一元制度の問題です。といいますのは、企業に属する者からしますと、数多く判決の中には、その裁判官は本当に世の中のこと、ビジネスのことを本当によく理解して判断したのかな? と思われるような判決がなきにしもあらずなわけです。会社と会社との間の紛争を裁くのであれば、裁判官にはビジネス経験を実際に積んでいただきたいとまではいわないまでも、それを理解できるようなポジションにいた経験のある方が判断を下せる制度にしたほうが、実態に照らした判決を出していただけるのではないかということから、司法制度改革に期待するわけです。
例えば、民間企業の活動ににかかわった経験のあるような弁護士が裁判官に登用されるようなコースが必要であるということですか?
    小島
    そのような方法もひとつかもしれません。アメリカにはたくさんの弁護士がいますが、その中から検察官、裁判官になっていくわけです。裁判というのは世の中の実態を判断する行為ですが、今の裁判官のキャリア・システムでは、現実のビジネスや世事に触れる機会をもつことはなかなか難しいのではないでしょうか。常識に即した、生きた判決を出すためには、日本の弁護士や裁判官の養成制度は民間とあまりに断絶したシステムになっているように感じます。  これからグローバル化や厳しい競争の時代を迎え、ビジネスの分野では、ますます紛争が多くなるものと思われます。そういう意味においても、民間における経験、知識をもった方が何らかの形で司法に参画できるようにすべきではないでしょうか。
ハイテクの技術分野の特許を巡る企業間紛争などでは、現在の裁判システムでは時間がかかりすぎるなどの問題点もあるとお感じになっていますか?
    小島
    私たちの会社で、これまでそういうことはありませんでした。これは又聞きですが、技術の中身であるとか、争っているポイントを裁判官に説明するとき、困難なケースもあるようです。
     また少し論点から外れるかもしれませんが、弁護士にしても、本当に技術の中身が分かっているのだろうかという疑問もあります。日本の司法制度全体が本当に世の中の流れについていけているのかという視点からみると、日本の司法のシステムには問題点が多いのではないかと思います。

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