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第145回通常国会を統括する

日米ガイドライン関連法の意義


反町
その他の重要法案として、新しい日米防衛協力のための指針関連法、いわゆる日米ガイドライン関連法(注4)があります。
    渡辺
    いざというとき、誰が国を守るのか? その原点をないがしろにしたままでは国家として成り立ちません。そのことをしっかり見据えるなら、ガイドライン関連法案は通過させなければならない法案でした。ただ、これだけですべてをまかなうことはできません。領海・領空侵犯への対応の面で不十分です。現在は警察法を準用しているのですが、海上保安庁ではどうしても限界があります。自衛隊の任務は専守防衛です。その意識をもって任務を遂行するなら、領海警備、侵犯に対する新たな法規制が必要だと、われわれ自民党の若手が運動を展開しているところです。
反町
日の丸・君が代を国旗・国家とする法(注4)も議論を呼びました。
    渡辺
    反対する方たちは日の丸をかつてのアジア侵略の象徴として、「なぜ今、法制化が必要なのか?」と論じるわけです。しかし、21世紀が目前に迫った今、国旗や国歌について対外的に明確な形を示せないというのは自立した国家としておかしいのではないでしょうか。
     日本が新しい国家の理念を示したわけです。それに対して、アジアの国々から反発を含め色々な意見が出ています。発言していただくことは良いことですが、日本としては、周囲の国の意見に合わせるだけでは主権国家として成り立ちません。大きな経済力をもつ日本は国際社会で担うべき役割があるはずです。まず日本が意見を主張する。それを基盤として、他国の意見を組み入れ、調整していく。そういう順序を取らなければ、いつまで経っても、東アジアは安定しません。日本が積極的に責任ある意見を述べていく。その中から冷戦後の東アジアにおける新しい枠組みが生まれれば、周辺諸国にとっても有益です
反町
まさしくおしゃる通りです。
 国際社会で「良い、悪い」という言い方はありません。アジアの平和が維持され、地域が安定するかどうか、それこそが重要です。
    渡辺
    野党には、政府が近隣諸国に戦争をしかける体制作りをしているかのごとき論調を展開される方もいますが、誰も戦争など望んではいません。過ちは2度と繰り返さないという意識は国民の間に共通の土壌としてあるのです。この土壌に新しい芽を出すことが21世紀に、世界の中で日本がどういう位置を占め、どういう役割を担うのかを決定づける重大なポイントとなります。日本という国は顔が見えない、考えていることが分からないと言われてきました。日米安保は重要ですが、自立的、自主的な活動は必要です。国際社会の一員になるには人的な国際貢献が必要ですが、それも現在のシステムでは難しい。
反町
アメリカだけで世界の秩序を維持していくことはできません。平和維持義務に関して日本も独自のカラーを前面に出す。そして積極的に他国と議論をする。それが21世紀における世界平和につながると思います。
    渡辺
    そういう意味で、今度の国会で、ようやくこれまでの日本と違ってきた。脱皮が図られたなという感じがしております。謝罪すべき点はきちんと謝罪し、主張すべき点はきちんと主張する。そういう態度が必要です。私はいつまでも過去にこだわっていては真の友好関係は構築できないと思っています。未来に向かって語り合うべきであり、融和のためには民間外交、つまり個々の国民同士の交流が最も大切だと思っています。

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