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アジア法整備支援

人脈の大切さ


「実務では、セミナーを開催するときなど、通訳のことが問題になります。先生方にセミナーをお願いしたり、交渉をお願いしたりするとき、うまく通訳していただけるかどうかは本当に大きなポイントですが、なかなか適任者がいないというのが実情です」
 特に何カ国かの人が集まるマルチ研修では、どうしても英語が共通語ということになってくるが、そうなると、今度は参加者たちの英語力という問題が出てくる。言葉の壁は長期的に考えていかなければならない問題だという。
「どうしても、英語を介するのは難しい面があります。探してみれば、アジア各国から日本の大学で学ばれている方もかなりおりますから、
どうにか通訳はセッティングできますが、本当であれば、日本語と相手国の母国語で、交流ができるくらいの語学力のある人材を、日本のどこかの機関で育てることができれば理想的だというのが実感です。相手国から日本の大学に留学して、日本語で日本の法律をきちんと体得していただくという形にする。そのようにすれば、アジア諸国の人々と、法律だけでなく、総合的な交流を深めることができるでしょう。ただし、そうなるためには、もっと日本に学びたい、興味があるというようにもっていくことがめできれば、という前提がありますが」
 では、日本がアジアの法整備にかかわる意義はどのようなものか?


「少なくとも、漢字圏の国である、中国、韓国、台湾、ベトナムも以前はある程度漢字を使っていましたが、そういった国々と日本とは本来、互いに非常に理解しやすい関係ではないかと思います。そのほかのアジア諸国とも文化的にも近い部分がありますし、日本が明治以来、西洋の法制度をとり入れながら、独自の法制度を構築してきた経験は彼らにとっても役に立つはずです。 
 日本の法制度を押し付けるわけではありませんが、やはり日本の法制度、法務局の登記の制度などは、支援の対象国の人々には事実、非常に参考になっているわけです」
 金子氏は研修に参加した人たちが交流を深め、将来にわたって友好関係を保つこと、人脈が形成されていくことが法整備事業の最も貴重な成果だと言う。
「“法律を与える”といった意識の支援ではなく、“一緒に協力してやっていきましょう”というところから生まれる人と人とのつながりがきわめて重要です。
 法整備支援事業で関係したアジア諸国の方の中から、やがて母国の司法機関で、重要な地位を占め、活躍するような人が出てくるでしょう。日本側としても、あのときの研修でお見えになった方だということになる。特にベトナムについては回数も重ねて、来日した研修経験者もだいぶ多くなっていますが、われわれとしても、そのような方々が将来、母国でどのような活動をされるかについてフォローすることを心がけています。
 それは将来の日本にとって、きわめて重要な人間関係となるはずです。私はそれが重要な点だと思っています」


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