↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 vol.3

アジア法整備支援

経済界への要請


 外務省や法務省が推進するアジアへの法整備支援をサポートするために設立されたのが、財団法人国際民商事センター(ICCLC=International Civil and Law Center)だ。 
会長は住友商事株式会社名誉顧問の伊藤正氏、理事長は弁護士で元法務事務次官・検事総長の岡村泰孝氏、特別顧問に経団連名誉会長の豊田章一郎氏、東京大学名誉教授・元法務大臣の三ケ月章氏というそうそうたる顔ぶれが名を連ねる民間団体である。
 その成立の経緯はどのようなものだったのか?
 同財団の事務局長・金子浩之氏にうがった。
「1990年代に入って、アジアの社会主義国家が市場経済に移行していきました。そのような国が経済を活性化させ、
国際取引に入っていくためには、西側と同じような法制度が必要となります。そのための法整備について、日本に協力支援を求める国々が増加してきました。要請を受けた日本政府は民間に協力を求めました。経済界に対して、諸外国、特にアジアの国々の法整備を支援するための民間団体を設立してほしいという要請です。それを受けて、財団が作られることになったのです」
 経済活動のために必要な法制度が整備されていなかったり、それを運用する人材が不足していれば、その国の経済活動が阻害されることになる。そのような国に民事・商事に関する法制度をはじめとする法的な基盤が整備され、それが有効に機能することは、その国の繁栄に役立つだけでなく、日本にとっても意義がある。


 現在の財団の会長であり、住友商事で社長・会長を勤めた伊藤正氏に法務省からアジアの法整備を支援するためには政府に限らず、大学、民間の弁護士、企業法務の専門家など多くの方々の知識・経験をお借りしたいので、民間の支援組織が作れないかとの打診があった。伊藤氏はこれは経済界をあげて取り組むべき内容の事業だと、豊田章一郎氏など財界のトップたちに相談をする。 「産業界としても、アジア各国に法制度が整うことは、それらの国のためになることはもちろん、長い目で見れば、日本の発展にも役に立つと、多くの方の賛同をいただいて、設立準備を始めたのが1995年の秋です。事務局ベースの部分は住友商事がバックアップするという前提で始まりました」
 1996年3月28日に設立発起人会を開催、4月には設立許可がおりて事業をスタート、1998年7月には法務大臣による特定公益増進法人として認定を受けている。
「事務局には住友商事から2人、出向して、事務にあたっています。法務省の法務総合研究所、学者・弁護士の方々にもひろく参加いただき、協力して事業を進めていくことになりました。法曹界の方と一体化した活動をしています」
 同財団には多くの協力者が名を連ねている、理事・評議員としは財界人、弁護士など、学術評議員・学術協力員として学会から多くの識者が参加している。

→Next

↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 5 6 7 vol.3
Copyright 1999 株式会社東京リーガルマインド
(c)1999 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.