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国際行政書士の未来
国際行政書士会の活動

-- 本格的なグローバル化の時代を迎えて、行政書士の業務も変わろうとしているようです。畑先生は会長を務められている国際行政書士協会はその変化に向けた取組みをされていますが、協会が設立された経緯はどのようなものだったのでしょうか?
「11年前に入管法(「出入国管理及び難民認定法」)が改正されました。かつての入管行政というのは本人出頭が原則で、日本に在留する外国人が自ら入国管理事務所に出頭して、在留期間の更新や資格の変更などを行っていたのですが、その改正によって、行政書士によ
る代理行為が認められるようになりました。申請取次行政書士(注1)といいますが、一定の要件をそなえる行政書士が申請を希望する本人に代わって、入管の書類を作成することで、本人出頭は免除することになったのです。その入管行政の改革と同時期に、帰化申請によって国籍を付与する需要が増えたこともあり、国際関係の業務を取り扱う行政書士に、高度な知識をつけさせ、資質を高めることを目的として、平成2年にスタートしたのが国際行政書士協会です」
-- 協会では、どのような活動をされていますか?


「主な活動に研修会の開催があります。毎月2回ずつのペースで開催してきまして、今年3月末までに合計241回の実績があります。国際的な問題を扱うために行政書士のレベルアップを図ることをメインの目的としていますが、より幅広い知識も深めていこうと、出入国管理法や国籍法といった国際問題に限らず、一般の法律についても、大学の先生や官公庁の職員といった専門家をお招きして、年に何回か研修を実施しています」
 現在、国際行政書士協会の会員は約120名で、全国に分布しています。国際行政書士協会の研修で勉強された方々が核となって、それぞれの地域の行政
書士の知識を深める活動にも取り組んでいます」
-- 入管行政に関する仕事を中心にされている行政書士はどれくらい、いらっしゃいますか?
「現在、申請取次行政書士は全国で約4000人になりました。日本行政書士会連合会の中に、申請取次行政書士管理委員会が設けられています。その委員は法務省と行政書士会からの6名で構成され、私はその副委員長を務めています。委員会は新しく申請取次行政書士になりたい人のために講習会を開催したり、申請取次の資格をもっている人に法令の改正などを逐次伝える研修会を実施しています」


-- さまざまな国籍の方について仕事をするとき、国が異なれば、法律も異なるわけで、業務にはその難しさがあるのではないでしょうか?
「確かに世界には180もの国や地域があり、それぞれ異なる法律が存在しますから、それを理解することは大変です。例えばイスラム諸国の方との婚姻は日本のように役所に届け出るだけでは成立しません。配偶者もイスラム教に改宗して、イスラム寺院で結婚式をあげます。あるいは女性が離婚した後、日本の法律では6カ月の再婚禁止期間
が定められていますが、タイはそれが300日で、中国の民法にはその規定が無いなど、国によって法律は大きく異なり、その知識がなければ業務がスムースに進みません。
 国ごとの法律の多様性に対応すめため、今、行政政書士は専門とする対象国ごとに細分化されつつあります。ドイツ法体系を得意にしているとか英米法体系だとか、中国を中心にしているといった専門化が進んでいるのです。また専門化することによって、顧客も増え、その国に関する情報も集まってくる効果もあります」

注1 「申請取次行政書士」 平成元年6月に行政書士の一部(法務大臣が適当と認める)が取次者として認められるようになった。

 
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