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Top Interview
巨大化する海外の法律事務所


アメリカなどの巨大なローファームと比較した場合、現在の改革のスピードでは間に合わないとは思われませんか?
    鳥海
     そう思います(笑い)。こういう速度ではたいへんまずい。
     日本では、2〜3人規模同士の法律事務所の合併はよくありましたが、私たちのように、20人と25人という事務所の合併は無かったため、当時はかなり注目していただきました。またその前年にはニューヨーク事務所を作ったこともあり、「どうして10年に1度のようなことを続けざまにやるのか?」と言われました。しかし、そうではありません。海外ではさらに早いピッチで法律事務所の合併が進んでいるのです。イギリスではサッチャー首相の時代、ソリスターの事務所は20人規模が上限でしたが、今は1000人規模の事務所が5つもあります。EUではドイツやオランダ、スペインの法律事務所もどんどん大規模になっています。昨年10月、5番目の事務所がヨーロッパの事法律務所とアライアンスを組んだ。ベンツとクライスラーの合併のとき、ドイツの法律事務所が使われず、イギリスとアメリカの事務所が出てきたということで、ドイツの関係者はショックを受けました。「ドーバー海峡の向こうは別だ」と思っていたが、そうではなかったと衝撃を受けたと聞いています。また昨年はイギリス最大の事務所とニューヨークにある、ロジャース国務長官やワインバーガー元国務長官がいる事務所とが合併しました。今やドーバー海峡どころか大西洋をまたぐ話になっています。そのような流れの中で、アジアだけは別ということはありえません。日本では、いまだに広告規制をして、法人化の問題も解決できない、複数事務所も駄目。そういうレベルでいては競争にならないと思います。

現在、日本にも外国法事務弁護士の事務所が増えていますね。
    鳥海
     私も日弁連の国際委員会にいますが、毎月、3〜5件の登録申請が出ています。すでにホワイト&ケースなど30人規模の外国事務所はできていて、プロジェクト・ファイナンスなどは完全に独自で行うようになっています。
     WTO(世界貿易機関)の交渉が再開し、議論が本格化すれば、早晩、壁はさらに低くなります。第三国法の扱いについていうと、日本の弁護士は本来、日本法しか扱えないわけですが、弁護士法に「外国法を扱ってはいけない」という規制がないこともあり、事実上やっていた。第三国法についてはその国の弁護士のオピニオンを書面でもらえば、扱えることになる。そうなれば、世界中に支店をもつ外国の巨大事務所に対して、東京にオフィスがひとつあるだけという日本の法律事務所は機動性や情報能力、処理能力の面においてまったく太刀打ちできなくなります。

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