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アジア法整備支援

法の支配の確立



「われわれとしては、法整備支援がめざすべきところは、法の支配の確立であると考えています。その手段として、民事、刑事の研修の別があるとしても、バラバラに研修が行われるのではなく、最終的には法の支配の確立に至るようなカリキュラムで実施していくというスタンスをとっています」
 法の支配の確立とはどのようなことか?
「法的な予測可能性が確保されるということです。つまり、ある分野について、これを規制する法律がある場合、これに基づいて行政が運営され、裁判が運用されているということが必要です。
この法律に違反した状態があれば、裁判制度等を通じて、その法律に基づき是正される。契約を交わして、相手が反古にすれば、裁判を通じて救済されるというように、法的な予測が可能であることが保証されるということです」
 アジアの域内の経済を広げていく上でも、法の支配を確立することがきわめて重要だ。 海外における企業活動を考えたとき、進出先の国の法律の体系が日本と異なったものであったとしても、法の支配が徹底していて、法がきちんと運用されているのであれば、それを前提に活動できる。


 一口にアジアということで、欧米と比較すれば共通の土壌があるといっても、やはり、社会、文化、宗教など多種多様な国が集まっている。社会構造が多様だからこそ、法律もまったく同じ内容のものにするのは困難であるので、法の支配という共通の原則を確立することが必要とも言えるだろう。問題は、たとえ法律が整備されたとしても、実際にはその通りに運用されておらず、正しい裁判が行われていないような場合だ。
「法治ではなく、人による支配が横行して、法よりもコネクションですべが決定するような社会であれば、経済取引を望む企業としては、法的な予測可能性が立たないため、
リスクがつきまとい、進出には二の足を踏んでしまうでしょう。そうなれば、その国の経済発展が阻害されることになりますから、そのようなことを防ぐためにも、法の支配を確立することが最重要課題であると思います」
 タイの金融危機に端を発したアジア経済危機は、法整備のニーズという意味では、一つのきっかけになったと言えるだろう。
「経済が落ち込み、早急な立て直しをすれとなれば、外資を導入しなければならない。そういったとき、外資を導入するためには、法を整備することが急務であるという意識につながったと思います」

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