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アジア法整備支援

平和国家としての国際貢献


 法務省はどのようなスタンスでアジアの法整備支援事業に取り組んでいるのか? アジア対する法整備支援を実施する意義について、法務省法務総合研究所総務企画部長・栃木庄太郎氏にうかがった。
「法整備支援は、日本国が果たすべき国際貢献であろうと思います。アジアには社会主義・共産主義的名中央統制計画経済から市場経済に移行しようという国家があり、世界に通用する法制度を整備する必要に迫られています。このような国々から、日本に対し法整備を支援して欲しいという強い要望があります。
一人当たりの国民総生産額を比較してみますと、日本は約3万5千ドルですが、ベトナムは、約300ドル、カンボジアも約300ドルです。そのような国の実情を考えますと、明治維新当時の日本と同様に、まったくの独力で法整備を行っていくのはきわめて難しい事業と言わざるを得ないでしょう。身近なアジア諸国にそのような貢献をしていくことは、経済大国としての責務だと思います。また平和国家として、日本が国際貢献を行うのであれば、法整備支援のような知的支援、人材育成は最もふさわしいと言えるのではないでしょうか」


 それらの国々が日本に期待をしている面もあるという。
「日本は、このような国々と同じアジアにあって、明治以来、欧米の法律を取り入れながら、100年そこそこの間に世界有数の経済力を有する国に成長したという経験がある。そこから学びたいという意識も強いと思われます」
 法務省が手がけているのは、従来から実施している刑事司法分野における国連アジア極東犯罪防止研修所の事業と、民商事分野に関するベトナム、カンボジア、ラオスなどを中心とした国々に対する法整備支援事業だ。
「アジ研は日本と国連との協定に基づいて運営されていますので、その協定の規定を受け刑事司法分野に限定されます。ただ、基本的に、われわれは、法整備支援は刑事・民事を区別しないで行うべきものという前提で事業に取り組んでいますので、従来のアジ研の活動と近時の民商事法分野の活動を、両輪と考えていますし、刑事司法分野の支援をアジ研によるものに限るとも考えてはおりません」
 事実、刑事関連で言えば、法務省は今年、ベトナム最高人民検察庁研修や汚職防止刑事司法支援研修などの研修を行っているが、これはアジ研とは別に、最高裁等と協力して行っている事業だ。

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