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特集1
国際会計基準導入の影響


--国際会計基準(注)が導入されることは税理士の業務にどのような影響を与えるでしょうか?
「国際会計基準の問題は決して大企業の問題だけのことではなく、中小企業としても避けては通れない問題です。ということは税理士にとっても避けて通れないのです。この制度は税理士の業務を根本的から変えていきます。今までは財務会計一本槍ともいうべき状況でしたが、これが管理会計的なものに変わらざるをえません。当然、徹底してそのための勉強をしなければなりません。
 ところが、税理士の多くはその認識が徹底してません。多くの税理士は『新会計基準が導入されたら、キャッシュフロー計算書をつければいい』と極めて日本的な物の考え方をしているようです(笑い)。
 国際会計基準が要求しているのは、作業方法のような表面的なことではなく、資金の流れをはっきりさせて、その企業の資金創造力を明確にするという趣旨です。しかし、日本企業の現状から予想しますと、本来のキャッシュフローにプラスして手形が何日分あるといった形で処理


するところが出てくるのではないでしょうか。外国では信用取引がほとんどありませんから、キャッシュフロー計算書が要求する問題はすでにクリアされています。これを期に、そういった信用取引のありかたの是非まで徹底して考え直さなければいけないはずです。
 連結決算の問題にしてもそうです。制度が導入されて、『この子会社が赤字なので、なんとかしたい』と相談された場合、日本の公認会計士や税理士は『では、資本関係を外しましょう』といったアドバイスに流れがちではないでしょうか(笑い)」
--形式上、子会社でなくなれば、連結決算にしなくていいと。
「国際会計基準の導入とは、本来そういうレベルの問題ではありません。そもそも子会社を作った目的は何だったのか。そこまで経ち戻って考え直さなければならない変革です。子会社を作るというのは、親会社の成長限界が見えたとき、衰退するときのことを考え、子会社を設けて、そちらから配当をもらおう、グループ全体の活力を  生き残ろうということです。従って配当は税法上、親会社の収入になっても、課税対象ではないわけです。それが本来の目的だったのです。そ


れが今では完全に忘れられて、子会社は単なる親会社の人事の受け皿か、不良債権を隠す道具に使われています」
--時価会計の導入についても同じことが言えますか?
「同じです。本来、すべての資産は時価評価しなければならない。適正な評価ということで考えれば、それが当たり前です。
 日本では表面的にとらえているようですが、国際会計基準によって、これまでの日本企業の在り方や活動そのものが問われているのです。それは取りも直さず、公認会計士や税理士のこれまでの活動を見直すべき時期に来たことを示しているのです」


注 「国際会計基準」
国際的に統一した会計基準。1998年、国際会計基準委員会が国際的な資金調達などに必要な最低限の基準として決定したもの。厳格な会計処理と詳細な情報公開が特徴で、連結会計、すべての金融商品の時価会計などが含まれる。

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