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特集1
中小企業診断士の業務はどうなる


--基本法の改正に続いて、中小企業診断士の在り方を規定する「中小企業指導法の一部を改正する法律案(以下、中小企業支援法)」が今年の国会に提出されました。法案提出までの経緯はどのようなものだったのでしょうか?
「昨年8月に中小企業政策審議会の下部機構である『ソフトな経営資源に関する小委員会』が中間答申を発表しました。これに対するパブリック・コメントを広く求めたところ、最も多かった内容は中小企業診断士制度に関するもので、382件中343件を占めました。この結果も踏
まえ、2月4日に開かれた『ソフトな経営資源に関する小委員会』の最終会議でまとまった提案(「今後の中小企業経営資源確保支援政策の基本的方向性について」)などをもとに法案が作成されて、2月8日に閣議決定、通常国会に提出されました」
--今回の改正で、法案の名称が「中小企業指導法」に代わって「中小企業支援法」となりました。
「これは先に成立した新基本法の理念を反映したものです。従来、中小企業に対する政策は国や都道府県が民間を『指


導』することでしたが、それを民間の能力を活用した『支援』(注3)に改めようということです」
--提出された法案の趣旨はどのようなことだったのでしょうか?
「中小企業庁によれば、趣旨はふたつあるということです。
 ひとつの柱は中小企業診断士の位置づけです。これまでは都道府県等の職員の指導の補完のための能力認定制度という位置づけでした。それを規制緩和という考え方から、都道府県の職員が民を指導するのではなく、民間のコンサ
ルタントに幅を広げようということです。つまり中小企業診断士を行政の補助者ではなく、民間のコンサルタントとして活用していくという方向性が打ち出されたということです。
 もうひとつの柱は、試験制度の厳格化です。今までは通商産業省令で中小企業診断士の試験や登録制度を定めていましたが、あくまで省令であって、罰則規定がありませんでした。今回、法律に格上げするとともに、罰則規定も新たに設けたわけです」


--新しい中小企業支援法のもとで、中小企業新診断士の業務はどのようなものになっていくでしょうか?
「昨年からの一連の法整備もあって、中小企業支援の施策として多種多様なメニューがそろいました。大切なことは、それらを利用しやいすい形にすることです。そこで従来、別々に分かれていた支援の窓口をまとめようということになったのです。そのワンストップサービスを展
開するため、今回、指定法人として、都道府県ごとに都道府県等中小企業支援センターを設置する構想が打ち出されました。中小企業診断士は民間の専門家として、その支援事業(表B)に協力していくことになります。都道府県等中小企業支援センターの他、国レベルのナショナル支援センターや、よりきめ細かい支援事業を行うため、全国300カ所の支援センターを設置することになっています」


注3 「支援」
中小企業支援法の法案の第1条「目的」に「中小企業の経営資源の確保を支援し、もつて中小企業の振興に寄与すること」とある。ここでいう「経営資源」とは、新中小企業基本法で定める「設備、技術、個人の有する知識及び技能その他の事業活動に活用される資源」(第2条第4項)を意味する。


表B [都道府県等支援センターが行う中小企業支援事業の具体例]
 1.経営診断等
(1)経営に係る診断・助言事業
 --民間コンサルタント、税理士等の民間事業者を活用しつつ事業を推進

●情報化の推進
●社債発行等を通じた資金調達(中小企業の自立的な資金調達手段)の円滑化
●高度な産業技術を利用した製品の生産、販売等の促進
●省エネルギー、リイサクルの推進
●海外市場の開拓(国際化)
●ISO9000の取得   等

(2)技術に係る助言事業
 --公設試、大学、知的所有権センター等と連携をしつつ事業を推進

●電算機を用いた設計技術の支援
●高度な産業技術の開発、又はこれを利用した製品等の生産技術の支援
●省エネルギー、リイサクルの推進に関する技術の支援   等

(3)調査、研究及び情報提供事業

●上記の各診断、助言事業に関する調査、研究、情報提供事業
●事業可能性評価委員会の運営
●退職経営者等による相談事業
●取引適正化・苦情処理事業   等
 2.県下の中小企業支援機関との協力(情報のワンストップサービス化)
●支援措置等の情報交換
●中小企業に対する民間の中小企業支援団体(商工会、商工会議所、中央会等)等の紹介   等
(出典:通産省資料)

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