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2000.vol.2

シビル・アクション
シビル・アクション
映画で学ぶアメリカ法

DATA
1970年代にマサチューセッツ州で実際に起きた公害訴訟を忠実に映画化した法廷映画です。
原題はA Civil Action,米ワイルドウッド・エンタープライゼス、スコット・ルーディン・プロダクション製作、パラマウント映画提供の劇場用映画です。
日本語字幕版はシビル・アクションと題して、パラマウント映画提供、UPI配給で劇場公開されました。
TV放映、ビデオ販売も予定されています。原作は、ジョナサン・ハー原作の同名のベストセラー小説です。
1970年代に起きた化学工場の廃液による飲料水汚染事件を扱った実録小説で
すが、環境問題をテーマに据えず、住民対化学会社の民事訴訟を戦った弁護士の生きざまを描いている点が、映画を人間的なドラマにしています。
監督は「シンドラーのリスト」のスティーブン・ザイリアンが脚本・監督を兼務して濃密な法廷ドラマに仕上げています。配役は、主人公の住民側弁護士に大物俳優で脂の乗りざかりのジョン・トラボルタ、相手方の企業側弁護士に名優ロバート・デュパルが扮して見事な演技を見せています。
他にシドニー・ポラックやウィリアム・メイシーなど演技派俳優が出演しています。法廷映画ファンとして見逃せない作品です。


STORY
舞台はマサチューセッツ州の寒村ウォバーン、美しい森と川に恵まれた山あいの村です。この町で、しかし、8人の子供が白血病で死亡、この数字は全米の平均を上回る数字です。
主人公ジャン・シュリクトマン弁護士(ジョン・トラボルタ)はやり手の原告弁護士、大企業を相手に消費者訴訟を起し和解金をせしめるやり手弁護士です。住民から廃棄物汚染を訴えられたシュリクトマン弁護士は、廃棄物処理場に出入りするトラックが著名企業のWRグレース社とベアトリス・フーズ社であるのを見て、訴訟を引き受けます。
住民対化学大企業の民事訴訟がはじまります。企業側の弁護士ジェローム・アーチャー(ロバート・デュパル)は、数々の公害訴訟で企業側を勝訴に導いた名弁護士です。
化学工場の廃棄物が、処理企業のライリー(ダン・ヘダヤ)の下で本当に棄てられたのか、それが地中に浸透して飲料水を本当に汚染したのか、そして、子供の白血病との間にどのよう因果関係があるのか、などを立証して陪審員を納得させるには、気の遠くなるほどの時間と証拠を必要とします。貧しい寒村の住民には金がありませんので、原告側のシュ


リクトマン法律事務所の立替となります。
シュリクトマンもパートナーの弁護士達も、自宅を抵当に入れ、8000万ドルの訴訟資金を調達して10年もの間の法廷闘争を続けます。化学企業側のファフチャー弁護士は、策謀の限りをつくして訴訟
の棄却を狙います。シュリクトマン法律事務所の同僚弁護士は借金に耐え切れず一人、二人と去って行きます。最後に、家を失い、電話も止められ、車もないシュリクトマン弁護士が空屋の事務所の中に立ち尽くします。


POINT
美しい自然を環境汚染した化学会社を悪役に、住民側に立つ社会派弁護士をヒーローにした法廷映画でないところが、この映画の厚味をましています。
アメリカでは、日本企業を含めて多くの企業が消費者訴訟にさらされ、アメリカは貪欲な悪徳弁護士が訴訟を通じて大
儲けをする訴訟の国というイメージが強いのですが、この映画を見ると、その訴訟も大変であることがよくわかります。
法廷場面や事務所での訴訟準備の場面に多くの時間が割かれていますので、アメリカの民事訴訟の実際を見るにも好適の作品です。

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