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司法制度改革

パトリック・マクネリス

連邦財務省国内歳入庁(国税庁)所属上級法律職員

財務省勤続30年を越す、マクネリスは大学院では国際法、更に法律大学院を卒業、首都ワシントンの法曹試験に合格以来一貫して連邦政府に勤務、財務省歳入庁の「年金、恩給」分野を担当する法律専門職員である。この質疑応答では、アメリカ政府機構における司法制度の位置付け、弁護士達の比重、その役割、また外国政府省庁との接触における、他国の司法制度との体験的比較を引き出すことを試みた。


1. 連邦省庁における弁護士と称する人種の存在感、一体物理的にどのような存在なのだろうか。

マクネリス:実は正確に勘定したことはないが、何しろ自分の周りは全部弁護士だから、デスクから見た国税庁とは弁護士集団が中心にあって、その周辺に聖書でも憎まれ者の徴税役人がいるような雰囲気だ。あなたは取材するほうだから、これをコペルニクス的に展開して見なければいけない。ここに連邦職員録がある。 数字を挙げてみよう。国税庁だけで1,600人いる、税関には220人、一般事務職で2,200、とにかく合わせると財務省全体で4,083人だ。驚くのは早い。法律関係では本家を気取る司法省職員としての弁護士は8,178人。戦争屋のはずの国防省だって4,162人。ペンと口先三寸で国を護るつもりなんだろうね。


 何故法律専門家がこれだけいるのかは、まさにアメリカの司法制度、法の支配の徹底に関わるものだ。われわれ省庁の役人はすべて国民の代表である議会の立法により働かされている。毎年正月、新議会が開幕すると、堰を切ったように議員達が用意した法案を一人が5本、10本と提出してくる。上下両院では時には1万近い法案。もちろん大多数が泡沫で委員会レベルで消えるが、成立する法律も数百はあり、これの多くがわが財務省を支配する。われわれは直ちにこれらの分析解釈に入り、施行細則関連規則規制を整備する。国税庁では、納税者有権者への周知をはかると同時に、絶え間ない、問い合わせに回答をすると同時に、納税者企業からの苦情申立て、さらには訴訟に対応する。
他省の日常作業の詳細は知らないが、議会との関係、国民との関係は同じであり、国防省で、商務省で何故これだけの数の弁護士が必要かは自明でしょう。すべてが、法の支配の下に動いているということに起因するし、国民への義務履行とは結局法制度を如何に忠実に役人が守るかにかかっている。民間には100万以上の弁護士がおり、個人、法人の権利と主張を代弁し連邦省庁に議論をいどんでくるのだから、われわれ1,600人の国税庁の弁護士だって、私などはこの事務所に毎朝3時半から出勤しているくらいだ。

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