↑What's New ←目次
0 1 2 3 vol.3

司法制度改革

法曹養成はどうあるべきか?


まず司法制度改革全般に関しての総括的なご意見からうかがいたいと思います。

「これまで司法制度をどうするかは法曹三者で行ってきました。私も三者協議の一員でしたが、ユーザー・サイドからの意見が必要だと感じていました。悪い点、改善点を指摘していただくことが必要だと考えていたわけです。今回、審議会が設置されましたが、いかにすれば良い法曹ができるか、国民に役立つ制度になるか、これを筋道立てて考えるのが審議会の役割だと思います。 結局、改革は日本国民がどういう司法を求めているか、それが重要です。役に立つ司法が欲しいということであれば、裁判は早く、正しい適切な判決が出せるようにするにはどうすればいいか。また裁判外では、国民が困っている問題をスピーディに処理する、あるいは法律問題が起きないような予防的な措置をほどこしていくスタッフをどこに求めるかということになると思います」


◆ ◆ ◆

 日本の司法の根本問題はやはり法曹人口が少ないということでしょうか?

「そう思います。ただし、闇雲に増やせばいいというわけではない。質の問題は大事です。法曹一元の問題にしても、量と質の問題がかかわってきます。完全な法曹一元を実行するためには現在の5倍、10倍の弁護士がいなければならない。利用する立場でいえば、 弁護士会のランキングで上位5パーセントに入る人が裁判官になるといった明確な制度であれば良いのですが、不明瞭な形のまま法曹一元が実現しては困ります。この問題に関していえば、審議会に道筋を立てていただくのに、2年間という審議期間は少し短い気がしますね」


◆ ◆ ◆

質、ということですと、法曹養成制度の改革は間違いなくテーマに入ると思われます。特に法科大学院という案が注目されていますが、この点、先生はいかがお考えですか?

「ロースクール構想は総論としては十分理解できる方策です。法曹の量と質、双方を満足させていくなら、単純な増員ではなく、法曹教育から考えなければいけない。とても、今のような法学部教育に任せておくわけにはいかない。だから法科大学院の制度を作る。これは分かる。問題は、間に合うかということです。司法改革だけでも大事業なのに、大学改革までセットにしなければならない。現実問題として、大学の教授会で、『では、来年度からうちの法学部を廃止します』という決定を下すことが本当にできるのでしょうか? 今の日本の司法は相当、 危機的状況にあります。とにかく改革を急がなければならない。議論を延々とやってる余裕はないのです。より早い方法として、既存の司法試験を見直し、司法研修制度を拡充するという方法もあるでしょう。端的にいえば、司法研修所は東京にしかありませんが、大阪にも作り、ここに予算をつぎ込み、それぞれ1,000人ずつ受入れ枠を増やすことで、2,000人の増員が可能になる。2年間、きっちりと研修を行うことで、法曹の質は決して落とさない。そういう方策もあるはずです。この方法なら、予算さえつぎ込めば、一気に増員が実現します」

→Next

↑What's New ←目次
0 1 2 3 vol.3
Copyright 1999 株式会社東京リーガルマインド
(c)1999 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.