あなたは人の話を聞く時、どのようなことに注意を払っていますか? 相手の目を見ること? それとも頷き方? 人によってさまざまだと思いますが、大多数の人が話すことに夢中で、自分がどんなふうに相手の話を聞いているのかという点においてほとんど無意識の人が多いはずです。これでは、残念ながら顧客の心をつかむ聴き方であるとは言えません。
 大切なことは、“聞く”ではなく“聴く”という姿勢を持つことです。ご存知の通 り、“聞く”とは物音や人の話を“耳で捉えて”受け入れること、それに対して“聴く”とは耳だけでなく“心でも捉えて”受け止めることだと言われています。実務家であるあなたが、相手の話を心で真剣に受け止めてあげることができれば、相手は間違いなくあなたに案件を依頼するでしょう。次に大切なことが、会話の割合です。相手は専門家のアドバイスを受けるために来ているわけですが、あなたが一方的に話をしても相手は決して満足はしないはずです。相手と自分の会話の割合は6:4または7:3と覚えましょう。もちろん少ない方があなたです。相手には話したいこと、言いたいことがたくさんあるはずです。それをしっかり聴くことにより、相手は一種の満足感を覚えるものです。その上で的確なアドバイスをしてあげると必ず効果 があります。また、固定観念を捨てて相手の話を“最後まで”聴くことを忘れずに。知識豊富な実務家であればこそ、相手の話を最後まできかなくても、相手が何を言いたいのか分かる場合が多いでしょう。しかし、相手が話している、それも相談している最中に、相手に対して自分が持つ経験則や知識で、すぐさま自分なりの判断をしてしまうことは、結果 的には大変怖いことになりかねません。どんな人に対しても、どんな相談の内容であっても、公平に聴く耳を持つよう心がけて下さい。最後に大切なことがもう一つ。相手の話を聴き、適切なアドバイスをした後は、感謝の気持ちを持って、それも余韻を残してお別 れすることです。「どうも」の一言で別れてはいませんか? 終わりよければ全てよし。相手はわざわざ交通 費を払って自分の一身上のことを、他の誰でもない、あなたに相談しに来てくれたのです。その気持ちに対し心から感謝をすること、そして依頼された案件に対して、最大限且つ最良の努力をして解決に努めるという言葉を、態度と共に示すことは言うまでもありません。
 次回は最終回です。接待を受けた時のマナーについてお話します。お楽しみに。