公務員制度改革の基本設計

 あらゆる方面で「改革」が叫ばれる昨今、公務員制度においても「改革」が進められている。今年6月政府は「公務員制度改革の基本設計」(資料1・参照)を決定した。その内容はあくまで骨組であり、今後12月に予定されている「公務員制度改革大綱(仮称)」の策定に向け、能力主義に基づく評価制度や給与制度の導入等、公務員の今後の在り方が示された。「基本設計」は、主に国家公務員、それも一般 行政職員を念頭に置いていると明記しているが、その他の国家公務員、地方公務員等においても同様の方向性が示されるべきである。

年功序列から能力主義へ


 長引く不況の中、就職氷河期の影響もあってか、公務員受験者数が一時期増加し続けたが、近年志望者は減少している(図1・参照)。また、若手国家公務員の離職が増えている(図2・参照)。早期離職者の離職理由(資料2・参照)や、現在働いている公務員が持つ閉塞感からは(資料3・参照)、年功序列をはじめとする現在の公務員制度が、もはや受け入れられにくいものになっていることがうかがえる。公務員に能力主義を持ち込めるのかという意見もあるが、公務員をもっと魅力のある職業にしていかなくてはならない。

能力主義に基づく「天下り」


 公務員制度改革において「天下り」は、最も注目されている問題である。いくつかの特殊法人をわたり歩き、高額な退職金を何度も得るということ等が問題視されている。能力のない公務員の「天下り」について言えば、現在の「天下り」への批判は然るべきものであるが、本当に能力がある公務員については、民間企業等でその能力を発揮し、社会へ還元されていくようであれば、何ら責められることではない。世間の批判が反映され、営利企業(民間企業)への「天下り」は減少しているが(表・参照)、今後、能力主義に基づく評価制度や給与制度を本格的に実施していくためには、実力のある者については、定年まで働いても退職後の生活に経済的不安のない、実力に見合った給与体系とし、かつ、民間でその実力を発揮させるという選択もできるようにするなど、「天下り」に代表される税金の無駄 使いをなくすためのシステム構築が望まれる。

地方分権の時代へ


 地方分権が推進される中、既に多くの地方自治体で行政改革が取り組まれており、市町村合併もその一環として、近年盛んに進められている。また、規制改革や公共サービスの民営化などで、行政の在り方が大きく変わろうとしている。その劇的な変化に伴い、地方公務員はこれまで以上に行政サービス能力が必要となるであろう。地方公務員制度の改革については、平成11年4月、地方公務員制度調査研究会によって「地方自治・新時代の地方公務員制度」(資料4・参照)が報告されているが、その中で、「国・地方公共団体を通 じて『公務』に従事することからくる制度については国家公務員制度との関係を慎重に検討」としながらも、「地方公共団体の行政を取り巻く環境の変化に応じて導入が課題とされる事項については地方公務員にふさわしい弾力的な枠組みを検討」とある。地方公務員制度の改革についても、各自治体の裁量 が尊重される時代がやってくるであろう。