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Y2K コンピュータ西暦2000年問題


実際に作動させるテストが必要


 では、Y2Kの問題を法的なトラブルにまで発展させないためには、どのようなことが必要か? タイムリミットは迫っていますが、できることはいくらでもあります。
 企業経営者はまず弁護士や法律の専門家で、Y2Kに詳しい人に、自社がやってきたことを過去にさかのぼって調べさせて、それをもとに対策を講じるべきです。さらにその内容を公表することです。また記録は保管しておくこと。
書類はもちろん電子メールも2000年問題に関するものは保存しておくことです。実証した上で発生したトラブルであれば、不可避であったという証明ができます。万が一のことが起きたとき、「できる限りのことはやった」ということが証明できるかどうかが重要です。準備できたのに、それをしないので、トラブルを招いたのであれば、なまけていたのと同じことです。それは裁判で追及されて当然のことです。


 製造業なら「私たちの製品について、Y2Kでこのようなことが発生する可能性があります。専門家を派遣しますから、一緒に調査をしませんか?」というように、前向きに対処する。それが将来の商売につながります。外国に製品を売っている製造業の企業であれば、そのようなことに特に力を注ぐべきです。
 しかし、多くの日本企業はそのような対応をしていません。それどころか、下から上がってくる情報をただ鵜呑みにして、安全宣言をする。さらに情報を隠そうとする体質があります。そのように不明瞭な態度が、海外のマスコミなどから「日本はY2K対策で遅れている」と不信感を持たれる原因になっています。


 またY2Kのトラブルを未然に防ぐためには、システムを修正するだけでなく、実際にコンピュータを作動させてテストすることです。修正作業中に新しいバグを埋め込むこともあります。しかし、それをしない日本企業が多いのです。ただ設計図を調べて、「ロジックから言って、ここにはマイクロチップを使うはずがない」と、 チェックを終えるようなレベルだったりするわけです。
 私がそれを指摘する理由として、製造業の世界では「設計上・書類上」と「実際」とが必ずしも一致しないことを知っているからです。パーツが足らないなどいろいろな問題があれば、他の部品に代えて使用することがあります。


 私が知る中で、このようなケースが実際にありました。あるアメリカの製薬会社が同じモデルの機械を2台購入して、2000年対応のチェックをしたが、1台は対応できたが、もう1台は対応できなかったのです。製造にあたって複数のメーカーからチップを購入したのですが、 中に日付機能のあるものが混ざっていたことが原因でした。その例でわかるように設計上は日付機能が必要なくても、代替品として汎用性のある日付機能付のチップが使われるケースもあるのです。わずかとはいえ、2000年まで残された時間があります。少しでもテストを進めなければなりません。

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