↑What's New ←目次
通巻 192号

今月のことば

〜地方自治改革〜

反町 勝夫
■ LEC東京リーガルマインド代表取締役会長 ■ 


地方自治の重要性
 わが国は戦後50年以上たって、国民(住民)の政治的な意見が欧米並みに成長・発展してきているのが現状である。その観点からは地方自治は大統領制であって、つまり首長を直接選挙で選んでいる。行政も議会においては議員も直接選挙で選ばれている。無論、連邦制ではないので、司法は地方自治ではないが、立法・行政については直接民主制がとられている。
 そういう意味において地方公共団体において国民(住民)の意思を反映してい
る政治の運営は21世紀において望ましいことだといえる。つまり、首長を直接選挙(大統領制)にしようという憲法改正案も出されている。
 行政の重要性から国民の意思が直接反映する大統領というものが歴史の転換期においては非常に重要である。行政の長に民意が反映しているということが激動の時代においては必要である。そういうことを考えると地方公共団体において首長が直接選挙であることは非常に望ましい。


これまでの歴史の沿革
 日本の地方公共団体は自治省を中心とした中央集権のもとで機関委任事務を中心として独自の権限と独自の財源を殆ど持たないで過ごしてきた。そのため、大統領制のもとで機敏な住民サービスができる機構をとりながら、その内実である権限と財源について骨抜きにな っていたために十分に合わなかった。それを打開すべき地方分権一括法が第一歩を踏み出した。しかしながら、権限は委譲されても財源の面でまだ浮上していないので片肺飛行になっている。それを地方に委譲していくことが難しい。


東京都の事例
 東京都の平成10年の一般会計決算の実質収支は1068億円の赤字となり、減収補填債発行等の財源対策を講じなかった場合の赤字は3500億円にも上るという。財源確保という意味において、地方公共団体独自が行う財源確保について、東京都の石原慎太郎知事が打ち出した一部銀行への外形標準課税(3月30日条例案可決・成立)について、銀行にのみ課した点においては批判がある ものの地方自治の財源確保について一石を投じたのは歴史的に評価されるべきものといってよい。
 また、東京都としては東京の活力の再生をめざし新たな施策展開を行いうる強固な弾力的な財政体質を確立するため財政の構造改革を施し、これまでの施策を見直し再構築に取り組むと発表している。


今後の地方自治
 今後の地方自治については地方交付税等の固有の財源化、地方が負担する公共投資・福祉について、それを処理できるような優秀な人材の移動・採用を行っていくべきである。
地方に権限が委譲されその財源が確保されることによってそれを用いた住民サービスができるような人材の採用と行政が急務である。その方法として中央官庁からの人材の移動を行うべきであるし、民間の伝統的大企業においてはこれまで公益的な業務を行ってきている企業が多いので、経験を活かし、その業務に従事した経験のある人の再雇用をすべき
であり、能力のある人を中途採用できるよう地方自治法を改正すべきである。
 事実、大蔵省においては専門職として公認会計士の採用をし、また、警察組織においても公認会計士を特別捜査官として採用しており、各分野において専門職を採用しているので、大企業の管理職経験者も大いに登用すべきである。
 また、従来型の公共投資は地方公共団体にとっては大変な財政赤字をもたらしている。 これからは住民の福祉・人を中心とした分野に投資していくべきであり、またこの分野において人材の登用を行うべきである。



←目次

↑What's New ←目次
通巻 192号
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.