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今求められる国会の機能強化
反町勝夫 アメリカと日本の政治システムを考える

日本の国会強化のために
中林美枝子氏
LEC東京リーガルマインド
代表取締役会長
反町勝夫
VS 連邦議会上院予算委員会スタッフ
中林美恵子氏


反町
 今、日本は国会の権限を強めよう。つまり議員の権限と実力を強めようといろいろと工夫しています。どのようなところを変えればいいのでしょうか?

中林
 アメリカでの経験から言わせていただければ、まず委員会のスタッフを強化するというのが得策ではないでしょうか。個人事務所のスタッフを増やしても、結局地元サービス、特に日本のシステムの中では選挙要員として使われてしまうのではないでしょうか。

反町
 つまり議員が使える人を増やす。その人は委員会に所属して、委員会から報酬を出す?

中林
 そうです。日本の中央官庁の公務員は、ちょうどアメリカでの委員会のような仕事をしていますが、中央官庁の人は党別に仕事をしないことですね。だから切磋琢磨がない、競争がない、ディベートがない。

反町
 党でなく、自分の省のことをやっている。

中林
 そうです。

反町
 実は中央官庁の役人の数は日本はアメリカに比べて圧倒的に少ない。だから中央官庁の人は徹夜で作業をしている。中央官庁の公務員を減らす必要はない。委員会の人数を増やせばいい。
 結局、日本にはアメリカの上院にあたる組織がないわけです。何か新しいものをつくろうとするとき、省を超えて国全体を考えるという部署がない。

中林
 外から見ていても、その状態で日本の経済、金融がどうなるかは心配事項です。ルービン財務長官やサマーズが来日して一生懸命、動くわけです。でも一向にどうにもならない。

反町
 やろうとしても内閣に手足がないわけです。各案件をとって、この部分は大蔵省、この部分は通産省と下げる。下ろされたほうは、自分のプラスになるようにデータを作るので 、それらを集めると、矛盾が生じてしまう。大蔵省にいいことは通産省によくなかったりするわけですから。それをもう一度、内閣でまとめなければならないが、それをまとめられるだけの人がいない。

中林
 専門スタッフがいなければ法律の作り方もわからない。また知識と技術が蓄積されないですよね。

反町
 そのためには内閣の機能を強化する以外ない。アメリカで大統領が変わると、行政のスタッフを指名しますが、日本でいうとどのあたりのレベルまでですか?

中林
課長レベルの仕事に政治指名者が就くこともあり得ます。ただ日米の間では仕事の質と肩書きが必ずしも一致しないので比較は困難ですね。議会の承認を必要とする政治指名者だけでも常に3,000人から3,500人存在します。

反町
 日本では、慣例的に中央官庁の局長以上が内閣の承認になっています。内閣を強めるには、一つには局長以上を内閣が任命するようにすることです。人事決定権を内閣に取り戻す。その代わり、公務員イコール官僚の利益を保証すべきでしょう。

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