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今求められる国会の機能強化
反町勝夫 アメリカと日本の政治システムを考える

活発な討論が行われる理由
中林美枝子氏
LEC東京リーガルマインド
代表取締役会長
反町勝夫
VS 連邦議会上院予算委員会スタッフ
中林美恵子氏


中林
 アメリカの委員会は政党の色をきつく出すようなことをよくやります。例えば司法委員会で、クリントンを弾劾裁判にかけようということになりました。共和党が主導権を握っている議会の司法委員会は、公聴会を開いたりインターネットで彼の証言を公開したり、モニカ・ルインスキーとリンダ・トリップの電話での会話を国民に公開したり。それらは共和党主導の委員会のレベルで決まったわけです。国民はそれを見ることができます。またそれを理不尽だと判断するなら下院は2年ごとに全員が改選ですから次回の選挙で審判を下すことができるわけです。98年11月の中間選挙にもそれが現れました。もっとも共和党は辛うじて多数党としての地位を維持しましたが。

反町
 議論の内容が選挙に反映されるのですね。

中林
 その党が委員会レベルで何をしているかがきちんと票に反映されます。つまり、政策が非常に見えやすい。委員会の議論の中で、民主党が何を言っているのか? 議会の民主党の人たちと、大統領の民主党の人たちがどのように協力してやっているのか?また、共和党がそれに対抗してどのように政策を打ち出しているのか? あるいはまったく政策がないのかというようなことが、日本に比べてかなり見える仕組みです。そういう意味で、議員たちの委員会レベルでの議論は非常に重要です。

反町
 そこが日本と違う。

中林
 委員会の中で政策の対立と切磋琢磨と競争が起こる。それが国レベルで新聞に書かれたりします。

反町
 アメリカでは委員会のスタッフは他の党の仕事はしない。

中林
 理念が違いますから。共和党の委員長のための仕事をしていて、理念の違う民主党の仕事もするというのは、よほどクレージーでないと(笑い)。そんなことをしたら情報も理念もグチャグチャになってしまう。お互いに競争をして、勝つために全知能を使い、精魂込めて仕事をしているわけですから。ところが日本では官僚が国会答弁の問答をつくりますよね。自民党の答弁をつくったと思えば、今度は反対の理念の党の答弁をつくる。「私はいったい何者なのかと思う」と言う官僚がいました(笑い)。だから国民が見てもつまらないし、わかりにくい。
 公聴会も委員会の重要な仕事です。そこでも国レベルの問題をディベートして、どの党がどのような考えを出しているか、どの議員がどの委員会でどんな意見を出しているかわかる。公聴会を開くときも党ごとに分かれ、スタッフが一生懸命に案を練っている。同じスタッフが別の党の議員の発言案を書いたりしませんから、アクシデントもありますし、議論もおもしろい。真剣さもわかる。

反町
 日本では公開の公聴会がないので、どこで誰がどんな議論をしているのかがわかりにくいですね。

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