中小企業診断士

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2次でも使える!1次知識の鍵 事例IV

日頃のトレーニングが必要だと言われる財務・会計事例。
2次試験に対応するために、各テーマについてポイントや解法のプロセスを解説していきます。
※この記事は2009年にメールマガジン「勘に頼るな、感を磨け!」で掲載したものです。

Hayatani.J 講師ページ

第1回:意外に問われる減価償却

1次試験では、減価償却のテーマは、次のような出題内容で多岐に問われます。(1)精算表・試算表の決算整理事項の資料として(平成14年度第2問、平成19年度第2問など)、(2)定額法・定率法による減価償却費の計算、売却損益の計算(平成14年度第4問、平成15年度第4問)、(3)資金調達の方法(自己金融)の1つとして、(4)キャッシュ・フロー計算書関連、(5)投資決定におけるキャッシュ・フローの計算、タックスシールド
意外に思われるかもしれませんが、2次試験でも、減価償却のテーマは多く出題されます。たとえば、直近で挙げれば、平成20年度の事例IVです。固定資産売却損の計算が出題されました。また、これに伴い、現主力設備を最新設備に取替えた場合、収益構造がどのように変化するかも問われています。減価償却費は金額が大きいため、財務診断でも見逃せないコストです。
また、減価償却について、特に2次試験で注意しなければならない点があります。それは、過去問の多くは、減価償却費の会計処理を直接法で行っている点です。したがって、貸借対照表の固定資産は、固定資産の取得価額から減価償却累計額を控除した後の帳簿価額で計上されています。貸借対照表のフォームを見ると、減価償却累計額勘定がないことに気づきませんか?例えば、平成18年度の事例IVを見てください。
この場合、特に固定資産の売却や取得によるキャッシュ・フローの計算に係る投資活動キャッシュ・フローの算定には、要注意です。
したがって、もったいない不正解をなくすためにも減価償却に係る問題は、1次試験の問題等を通じてしっかりと復習しておくことが大切です。

直説法と間接法

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第2回:2次でも問われるデリバティブ

デリバティブ?1次試験の学習でもややこしいテーマですね。先物、オプションと聞くと嫌な顔をするのが目に浮かびます。ただ、なぜだか、1次試験ではよく出題されます。オプションについては、平成14年度第15問、平成15年度第14問、平成18年度第12問および平成19年度第15問にて、出題されています。また、平成20年度では為替予約が問われました。その内容は、各デリバティブの基本的な構造を問う出題がほとんどです。
デリバティブは、2次試験でも出るの?そう頻繁ではありませんが、平成14年度事例IVの第3問で問われています。為替リスクの対応の問題です。本問では、洋書を取り扱っている書店の事例で、洋書の仕入代金決済を現地通貨で行う場合において、為替リスクへの対応を問うています。(設問1)では、仕入れ時点で完全に為替リスクを回避するにはどうすればよいか?(設問2)では、ヨーロピアンオプションによって為替リスクを回避しようとする場合、円安が予想されたときには、(1)どのようなオプションを手に入れるべきか?(2)オプションの満期日にはどのように対処すればよいか?
したがって、オプションの基本的な仕組みや計算方法より、デリバティブの具体的な活用方法が問われているわけです。したがって、1次知識の復習として、特にリスクヘッジ(回避)策としてのデリバティブの活用方法も整理しておくことが望まれます。

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第3回:キャッシュ・フローの問題は計算だけではありません

2次試験では、キャッシュ・フローに関する出題も高頻度です。たとえば、平成13年度、平成14年度、平成16年度および平成18年度で出題されています。したがって、過去問を検討する場合、直接キャッシュ・フロー計算書の作成が問われていなくても、トレーニングとして、キャッシュ・フロー計算書を作ってみましょう
もちろん、1次試験でも確か、平成17年度を除いて毎年、なにかしら出題されています。1次試験では、計算を中心にキャッシュ・フロー計算書の基本構造や基本的な知識が問われます。これに対して、2次では、計算問題ももちろん出題されますが、それだけではないことに注意してください。例えば、平成13年度、平成14年度および平成18年度では、D社のキャッシュ・フローの状況を説明させています。
キャッシュ・フローの状況を分析する場合、まずはざっくりと、各活動区分(営業・投資・財務)の内容・金額をおさえ、相互の関係をみていくことが必要です。特に大切なのは、営業キャッシュ・フローです。これは、企業の本業によるキャッシュ・フローの獲得能力を表しています。営業キャッシュ・フローは、業績が低迷し利益があがっていないか、不良在庫や不良債権を抱えることによって悪化します。
また(そんなこと知っている、といわれるかもしれませんが)、この営業キャッシュ・フローに投資キャッシュ・フローを加えたものをフリー・キャッシュ・フローといいます。では、フリー・キャッシュ・フローは、どのような意味を持ち、どのような用途に活用されるのでしょうか?

キャッシュ・フロー

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第4回:フリー・キャッシュ・フローは何に使われるのか?

FCFは、営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローの合計で求められ、企業が自由に使える資金といわれます。
では、企業は、FCFを何に使うのでしょうか?それは、再投資の財源に活用する、借入金の返済にあてることが一般的です。さらに、大企業の場合には、配当金の支払、自社株の取得にあてることになります。
また、ファイナンスでは、FCFを現在価値に割り引いて、企業価値(買収価値)の算定に利用します。2次の本試験では、平成16年度第3問において、FCFを算出させ、これを基礎に企業価値を算出される出題がなされています。
企業は、雇用を守るため、内部留保を活用すべきだという意見があります。内部留保というのは、財務諸表上、何を指すのでしょうか?
それは、純資産の部の株主資本の区分の中の利益剰余金を指します。つまり、企業がこれまでもうけた利益を蓄積したものです。しかし、残念ながら、利益剰余金=手許(てもと)現金ではありません。したがって、内部留保を活用しても、それに見合うキャッシュが無い限り、雇用を守ることはできません。キャッシュ・フローを説明する場合、次のような表現がよく使われます。「キャッシュは現実、利益は意見の表明」

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第5回:経営分析は収益性改善の見地から、指標をセレクトしよう。

事例 IV の第1問では、財務分析が出題されるパターンが定着しています。D社の問題点を示す指標をあげ、それを計算し、問題点の根拠・原因を論評される出題です。ただ、悩ましいのは、あげるべき指標を2つ3つに絞らなければならない点です。
財務分析では、収益性分析と安全性(流動性)分析の2方向から企業を分析するアプローチをとります。しかし、あげるべき指標も、この2方向から必ずセレクトしなければならないのでしょうか?ロジック的に問題がなければ、どんな指標をセレクトしても良いとは思います。ただし、問題点となるべき指標をあげても、その延長線上に具体的な改善策がなければ、診断にはなりません。また、できるだけ与件文から、うかがえる指標であることもセレクトのクライテリア(判断基準)です。
たとえば、業績の悪化→高い在庫水準→資金繰りの悪化という流れの場合、棚卸資産回転率と当座比率が問題点としてあげられる指標になります。しかし、両者は包摂する関係になります。当座比率を改善するためには、必然的に棚卸資産回転率を改善しなければならないからです。つまり、両者を問題点の根拠をあらわす指標としてあげると、ダブルブッキングしてしまうことになります。
他方、与件文や設問構造から、安全性を取り上げなければならない出題もあります。平成20年度の事例 IV です。これは与件文からも資金調達が絡んでいる問題です。それは第4問の出題内容からもうかがえます。したがって、本問の場合、自己資本比率が問題点の根拠を示す指標としてあげられることになります。安易なアプローチは本質を見逃すことになりますので、ご用心!ご用心!

ダブルブッキングの危険性

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第6回:製造原価報告書もマスターしておこう。

1次試験では、経営分析やキャッシュ・フロー計算書の問題において、貸借対照表や損益計算書が資料として提示されます。
これに対して、2次試験では、貸借対照表や損益計算書の他に、製造原価報告書が資料として提示される事例が、割と高頻度です。たとえば、平成15年度、平成16年度、平成17年度、平成20年度で、当然、製造業をテーマにした事例です。このうち、平成17年度の出題では、予想製造原価報告書を作成させる(空欄補充ですが)ものです。
1次試験では、製造原価報告書を資料として出題された問題は、平成20年度第10問です。平成13年以降初めて出題を見たと思います。ただし、本問では、製造原価明細書という表現になっています。
では、製造原価報告書は、何のために、どのように活用されるのでしょうか?
製造原価報告書は、当期製品製造原価を算出するまでのプロセスを示したものです。商品を外部から仕入れて、これを販売するという販売業と異なり、製造業では、自分のところで製品を製造し販売するわけですから、製造原価を計算しなければなりません。製造原価報告書において算出された当期製品製造原価は、損益計算書に売上原価を計算するプロセスに反映されます。 期首製品棚卸高+当期製品製造原価−期末製品棚卸高=売上原価
また、製造原価報告書は、製造原価に反映されたコストの内訳が記載されていますから、経営分析を検討する資料としても、見落とせません。
このように、製造原価報告書は損益計算書を補完する書類という位置付けです。この書類には、1次試験で学習した財務諸表の相互関係や原価計算の考え方が凝縮されています。

  • 製造原価報告書(例) (単位:千円)
  • I  原材料費    3,000
  • II  労務費     1,000
  • III 経費      1,000
  • 当期総製造費用   5,000
  • 期首仕掛品棚卸高   500
  • 合計        5,500
  • 期末仕掛品棚卸高  1,000
  • 当期製造原価    4,500

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第7回:CVP分析の押さえどころ

CVP分析は1次試験でも出題頻度が高いテーマです。主に問われるのは、損益分岐点売上高、損益分岐点比率、安全余裕率、目標売上高達成売上高、最適セールス・ミックス、貢献利益などです。いずれも、計算を絡めた出題です。
2次試験でも度々出題されるテーマです。もちろん1次知識で十分対応できる問題です。ただし、たとえば、次のような出題の特徴がうかがえます。

(1)CVP分析の基礎データを計算させるパターン・・・たとえば、変動費率と固定費の金額を損益計算書の資料から算出させる問題で、平成15年度第2問、平成17年度第3問、平成19年度第2問などがあげられます。特に、平成15年度と平成19年度では、前期と当期の期間比較の問題です。2期間のデータから連立方程式を立てて、容易に求めることができます。ただし、変動費率・固定費額は一定との仮定が設けられます。この場合、方程式を立てるためには、CVP分析の基礎データ間(たとえば、売上高、変動費、固定費など)の関係が基礎になります。実際にどのように、計算すればよいのでしょうか?皆さんも考えてみてください。
(2)「D社が営業利益の赤字額を0円にするためにはどれだけの売上高を確保しなければならないか」・・・これは何を問われているのでしょうか?
(3)限界利益率、貢献利益率はどのような意味で、何を判断する比率でしょうか?

このように2次試験では、CVP分析の各データの意味と各データ間の相互関係の理解がポイントになります。皆さんも過去問にチャレンジしてみませんか?

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第8回:最近流行(はやり)のデシジョンツリー?

2次試験においても、設備投資決定の分野からの出題は、毎年のように見られます。その中で、平成19年度第3問、平成17年度第4問および平成16年度第4問では、多段階的(または逐次的)に意思決定を行う出題がなされています。イメージ的にいえば、資料の状況を場合分けして、それぞれのケース(研究成果や需要予測などの結果)が生じる確率を乗じて、キャッシュ・フローの期待値を算出させる問題です。そのうち、期待値が最も高いものが投資案として採用されるといった意思決定が問われるわけです。
意思決定が、時系列的に何回か行われるため、デシジョンツリーを使用して整理することが有用です。ちなみに、デシジョンツリーを、平成18年度第15問では、「キャッシュ・フローのリスクを生じさせる要因(変化要因)を確率変数と見なして、キャッシュ・フローの確率分布を見出す方法」、「逐次的に投資決定が行われるような場合にも適用される」方法と述べています。意思決定や場合分けが多くなればなるほど、魚の骨のような形になるので、フィッシュボーンと呼ばれたり、元々デシジョンツリーの手法は、ゲームの理論から派生したものであることから、ゲームの木(game tree)と呼ばれることもあります。
この分野は、不確実性下の意思決定という呼ばれ、1次試験では平成18年度(第15問)から出題されはじめ、平成20年まで連続して出題されています。特に平成20年度第25問では、2次試験の問題を縮小したような正味現在価値の期待値を求める出題がなされております。あなたは、容易にこの問題を解くことができますか?もし、少しでも不安に思うのなら、早速、平成20年度第25問にあたってみましょう。

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