


社労士として中小企業の人事・労務の顧問をしていた頃は、ヒトの採用から退職までの労働及び社会保険に関する諸手続きや年金、労働時間、解雇等の労務管理問題についての相談・指導業務に至るまで、いわゆる一般的な社労士が担当する業務を一通りしておりました。
そうした業務を遂行する中で、もっとクライアント企業のお役に立ちたい、喜んでもらえるようになりたいと思うようになりました。
そうした時に、経営コンサルタントとして国で唯一の国家資格となる中小企業診断士のライセンスと出会い、このライセンスを取得してコンサルティングを展開することができれば、今以上にクライアント企業に貢献できるようになるのではないかと考えたのが、Wライセンス取得のきっかけでした。
中小企業診断士は、経営コンサルタントになるために経営全般について幅広く学習します。
具体的には、「経営戦略」「組織・人事」「マーケティング」「財務・会計」「生産管理」「店舗施設管理」「情報システム」等、企業経営を円滑に遂行するために必要となる基本的テーマについて学習します。
これらの各々のテーマとテーマ間の相互関係の学習をすることで、経営の全体像あるいは経営を体系的に理解することができるようになります。
また、経営上の問題に対応するためには、経営を体系的に理解しているだけではなく、物事を論理的に考えるスキルが必要となりますが、そうした論理的思考力について事例問題を通じた訓練により獲得できるのが診断士の学習です。
診断士のライセンス取得前は、労働関係法令に関する違反はないか、その違反状況に対していかに是正勧告を受けないように対処するか、あるいは人事制度導入のためのノウハウを学習し、学習したノウハウでいかに企業に人事制度を導入するか等のテクニカル的なことに意識・関心が向かっておりました。
しかしながら、診断士のライセンス取得後は、この会社では何を大事に考えているのか(価値観)、何をしたいと考えているのか(ビジョン)、何を使命(ミッション)としているのかということや、そうした会社の考え方に対して現場・現状はどうなっているのか、そして、会社の考え方と現場・現状のギャップを埋めるための方策は何か?等、まさにコンサルティングマインドと全社的視点、更には現状・課題・対応策に至る思考プロセスを論理的に展開することを意識するようになったことが、大きな変化だと思います。
社労士時代は、クライアント企業の決算書をお預かりして財務分析をするということはありませんでした。
現在は財務分析により企業の現状を把握し、そこから生産性や労働分配率あるいは人件費率等の係数管理とそれらの数値改善に向けた支援やその他の成長性や安全性についてもアドバイスを行ったり、会社内の労働者を内部労働市場として、マーケティングの発想で、労働支援サービスを立案したりする等、診断士で学習したことを人事・労務分野の中で活用しております。
また、社内研修においても、従来の人事・労務管理分野に関することだけではなく、マーケティング・財務あるいはマネジメント研修等にも対応できるようになり、業務の幅を拡大しております。
社労士は専門分野のサービス業であり、提供できるサービスの内容は保有するスキルや能力に依存します。
一方、サービスを受ける側の企業では、社労士であろうとなかろうと、企業経営にとって良質かつ有効なアドバイスをしてくれる存在であることが重要となります。
社労士が経営機能の一部である人事・労務分野の支援をより効果的に実施したいと考えるのであれば、経営に対する理解や財務等のその他の経営機能についての理解をしていることが必要です。
また、社労士が今以上の経営の良きパートナーとなるためには、社労士の専門領域だけではなく、人事・労務顧問から経営顧問へと展開することが有効な手法になります。そして、それを可能にするのが診断士と社労士のWライセンスです。
社労士として、自分自身の存在価値や付加価値を高め、企業への貢献度をより高めたいと考える方は、是非Wライセンスにチャレンジしていただきたいと思います。
龍谷大学法学部卒。卒業後、食品会社にて営業職に従事。1990年社会保険労務士事務所に入所し、1993年社会保険労務士試験に合格。その後、社会保険労務士として中小企業の人事・労務業務の支援を行う。
社会保険労務士として、中小企業経営者の各種の相談に対応している中で経営に関するスキルの必要性を痛感し、中小企業診断士の資格取得に向けた勉強を開始し、2002年中小企業診断士の試験に合格。
合格後は経営的視点から中小企業の組織・人事の支援業務に従事する一方、2005年からはLEC専任講師として、1次試験対策では「企業経営理論・経営法務」2次試験対策では「組織・人事」を担当している。