
1次本試験を突破するための基本戦略をお伝えする前に、解答に必要な知識レベルの視点から本試験問題の分析をおこないます。
まず、設問の種類は難易度から分類すると、大きく「基本問題」、「標準問題」、「周辺知識問題」の3つに分けることができます。
これらの設問を正答するために必要な知識はそれぞれ「基礎知識」、「応用知識」、「周辺知識」といえます。科目によって多少差はありますが、大体、基本問題が40%の出題、標準問題が40%の出題、周辺知識問題が20%の出題となります。
それでは具体的にみていきましょう。
結論から言うと、1次試験突破のために必要なのは、2つの力です。一つは「試験に落ちない力」、そしてもう一つは「試験で得点する力」です。
基本問題は、科目体系の根幹となる基礎知識に関する設問ですが、これが大体40%出題されます。つまり、ここで全部正答できれば、足切りに引っかからないのです。言い換えれば、この基本問題で常に確実に80%以上の正答率をキープできるかが、一次突破を占う一つのベンチマーキングとなります。「常に確実に」というのがポイントです。
これは、特に平均点が低くなる科目に関しては、この基本問題の出来不出来が総合スコアに影響を与え、ひいては合否を決定することからも肝に銘じておく必要があります。すなわち、取れるところで取りこぼさずに、どんなときでもしっかり40点をキープできる底力をつけておけば、仮に試験本番で危機的状態に陥っても、あなたを必ず助けてくれるのです。まず基礎知識問題の正答率を上げていくことが、1次試験の一点突破術の一つです。これはあなたの合格可能性を高めると同時に、足切り対策という意味でも重要なのです。これが一点突破力の一つ「試験に落ちない力」です。
さて、科目の基本的な知識の上に積み上げられ、科目体系の血肉となりボディとなっていくのが応用知識です。こういった知識は、科目の理論的な側面だけでなく、実務的な視点からも重要な論点として毎年繰り返し出題されます。これが大体40%出題されます。この応用知識の理解と定着を問う標準問題での得点力は、いわば合格決定力のようなものです。基本問題で常に確実に80%以上正答することを一点突破力の一つと説明しましたが、同様にこの標準問題で60%以上の正答率を安定的にキープできるかどうかが合否を占うもう一つの一点突破力となります。この応用知識の理解と習得が、「試験で得点する力」です。そしてそれは“あなたの合格決定力”を意味します。
残りの本番で大体20%程度出題される周辺知識問題ですが、これは実務的な知識や時事的なキーワードに関する知識です。いわゆる難問・奇問のたぐいの知識もここに含めます。残念ながら、中小企業診断士の試験には、そもそもマークシート方式の試験としてそぐわないものもあり、設問のクオリティが全て適切だとはいえないものも出題されています。これは診断士として求められる資質をペーパー試験で判定するという本質的な矛盾が存在する限り、少なからず存続する問題です。
周辺知識問題は、本番でいかに選択肢を絞りこめるかがポイントです。いうまでもなく、選択肢を消去していくためには、基礎知識〜標準知識をしっかり体系化(理解)して血肉化(習得)しておくことが重要となります。例年のリサーチ結果からみると、基本問題の正答率と標準問題の正答率が、そのままこの周辺知識問題の正答率に反映されています。極論を言えば、特に対策を立てる必要はありません。大切なのは2つの1次試験の一点突破力である「試験で落ちない力」と「試験で得点する力」をつけて、この周辺知識問題を得点できなくても、しっかり最低合格点となる60%のキープを目指す得点モデルを自分のものにすることなのです。
2次試験は、問題の本質を掴み、問題解決策を提示するコンサルタントとしての思考プロセスやクリティカルマインド(批判的精神)、ロジカルシンキング(論理思考力)が身についているかが問われる試験です。
筆記試験問題の形式は、企業の事例が与件文として提示され、その事例に関する設問が15字〜200字程度の字数制限を設けて5問程度出題されます。
「80分」という制限時間内に決められた字数枠の中で出題者の意図に沿った解答をまとめるという難しさがあります。
2次試験に取り組むプロセスは、大きく3つに分かれます。そしてそれは、実際のコンサルティングのプロセスと全く同じです。
1.「読む」力
コンサルタントが診断をする際、まず最初に行うのが「情報収集」です。2次試験の与件文には、事例企業に関する情報が多数埋め込まれています。これを的確に読み取ることが2次試験攻略の第一歩です。
「正しく読み、正確に情報収集をおこなう」ことは一見簡単そうに思えますが、実際には非常に難しい作業です。しかし、この力を徹底的に養成しなければ、あとに続く「考える」「書く」というそれぞれの力が発揮できなくなってしまいます。与件文を丁寧に読みこみ、出題者の意図を的確に捉えることを意識しながら学習を進めることが重要です。
2.「考える」力
情報収集を行なった後は、その情報に基づいた「分析」を行ないます。内外の経営環境や顧客ニーズを総合的に勘案し、事例企業を発展へと導く方向性を検討します。2次試験でも、与件文の情報を元に1次試験で学習した知識をベースとして「分析」をおこないます。
「考える」力の養成は、頭の中のプロセスが見えない分、ある種の工夫が必要になります。出題者が模範解答を作成する際の思考プロセスを図式化し、診断士としての「あるべき思考プロセスフロー」を身につける必要があります。思考プロセスは人それぞれにクセがありますので、繰り返し学習によっていわゆる「診断士脳」を養成することを意識してください。
3.「書く」力
各種分析を行なった後は、「経営診断報告書の作成」を行ないます。そしてそれを元に企業に対して「プレゼンテーション」を行ないます。2次試験においては、解答用紙に「書く」ことがプレゼンテーションになります。
解答用紙の限られた文字数の中で、収集・分析した情報を組み立てて具現化するためには、ある程度の訓練が必要になります。「わかりやすく誤解されないシンプルな答案」を意識し、できるかぎり第3者に読んでもらうことで、自分のクセを矯正していくことが重要です。
このように、コンサルタントとしての思考プロセスの理解と習熟には、ある程度の時間がかかります。つまり、学習の早い段階から、1次試験の学習と並行して2次試験対策に取り組むことが重要なのです。また1次試験と2次試験の内容には大きな関連性がありますので、1次対策と2次対策に同時に取り組むことで、シナジー効果も得られます。最短で合格を達成するためにも、ぜひ留意してください。