D'zLEC
けんけんの@(あっと)ワード
R.P.ファインマン(物理学者)
不確かなことは本当だし、しかも必要なことなのです

 最近、けんけんのぼろ自転車は、コトコト情けない音をたてて走ります。冬になって気温が変化したので、フレームに微妙な歪みが生じたようです。
 というわけで、無理な前フリで心苦しいのですが、今回の@ワードは、変化のもたらす影響予測、すなわち「弾力性」の科学についてのお話です(仰々しいかな〜)。

 以前、マーケティングの4P(プロダクト、プライス、プレース、プロモーション)にプレディクト(予測)を加えて5P、という説をご披露されてる方がいました。ビジネスでは、先を読むのが大切だからです。
 例えば、来期の「経営計画」を立てる場合、どうやって売上高を予測したらよいのでしょうか。大雑把なレベルなら、需要の所得弾力性を使って、簡単に求めることができます。
 所得弾力性(η:エータ)は、所得(例えば、GDP)が変化したとき、ある財の需要がどの程度変化するかを示した指標ですから、GDP成長率と業界成長率の2つの時系列データがあれば求めることができます。

【弾力性の定義式1】
所得弾力性(η:エータ)=ある財の需要の変化率(%)÷所得の変化率(%)
=(ΔX/X)÷(ΔY/Y)   X:需要 Y:所得 Δ:変化分

 なので、求めたηにシンクタンク等が発表したGDP予想成長率を掛け算してあげると、来期の業界予想成長率となります。後は、その数値に努力目標や業界シェア等を勘案して、今期の自社売上高と掛け算すれば、即席の予想売上高が出来上がるというわけです。
 診断士試験とは、関係のなさそうな弾力性の活用方法でした。

 で、今度は、「需要の価格弾力性」です。価格弾力性の定義とは、ある財の価格が変化したとき、需要がどの程度変化するかを示した指標で、変化率の比(絶対値)で表されます。
 でも、ここでは、定義式2のアルファベットの式に注目してください。式が、変化率の割り算でなく、平均(P/X)と需要曲線の傾き(ΔP/ΔX)の逆数の掛け算で表されてます。

【弾力性の定義式2】
需要の価格弾力性(ε:イプシロン)=その財の需要の変化率(%)÷価格の変化率(%)=(P/X)×(ΔX/ΔP)   X:需要量 P:価格 Δ:変化分

 では、この式を手がかりに、ある需要曲線の性質について考えます。

【需要曲線】
P=b−aX  a:需要曲線の傾き(ΔP/ΔX) b:切片

 まず、紙と鉛筆を用意してください。縦軸にP、横軸にXを取り、需要曲線のグラフを描きます。式は1次式ですから、需要曲線は右下がりの直線となるはずです。ここでは、その直線上におけるεを求めてみます。
 定義式2より、εは、直線上を右に移動するにつれ小さく(非弾力的に)なることが分かります。なぜなら、平均(P/X)は、右に移動するにつれ小さくなるのに、傾き(ΔP/ΔX)の逆数は、常に一定だからです。まるで頭の体操ですね。
 ちなみに、この弾力性の概念は、独占企業の行動の説明にも使われています。

 試験では、弾力性に関する問題が、経済学やマーケティングで出題されてます。取り組み難いテーマですが、パズルのつもりで、グラフや公式を描きつつ、弾力性に関するフレーム(枠組み)を習得してしまいましょう!
「本当に分からんとです!」提供:石塚氏
「本当に分からんとです!」
提供:石塚氏
 おしまいは、予測をベースとした「経営計画」や「戦略計画」の取扱いのヒントになればということで、ノーベル賞物理学者R.P.ファインマンさんの言葉を引用して話を締めくくりたいと思います。将来って、不確かさが残るみたいです。では。


以下、「科学は不確かだ!」(岩波書店)より
「僕らの主張や結論は、何もかも不確かであることは本当だし、しかも必要なことなのです。何せそれはただの結論にすぎず、こういうことが起こるだろうという予測にすぎない。…だから科学者は、疑いや不確かさに慣れっこになっています。…またこうした疑いや不確かさを経験するのは大事なことで、これは科学だけでなく、広く一般にも非常に価値のあることだと僕は信じます」



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