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| 日本のことわざ そろそろ株主総会のシーズンになってきました。投資家やアナリストにとって、いろいろと忙しい季節です。 今回の@ワードでは、財務諸表の数字の意味について考えます。財務諸表には、企業戦略や成長ステージ、企業行動などの結果が反映されているからです。なので、投資家やアナリストに限らず、財務諸表を通じて企業の問題点や特徴を見つけ出すのは、ビジネスマンにとって必要な能力です。 ここでは、試験的にマイナーな棚卸資産回転期間(棚卸資産÷(売上原価÷365日))を取り上げます。皆さんがよく知っている棚卸資産回転率と読み比べていただけると幸いです。 まず、復習になりますが、棚卸資産とは、商品・製品に半製品・仕掛品・原材料等を含むいわゆる在庫のことを指します。ですので、棚卸資産回転期間とは、売上日数で見た在庫の保有量を意味します。 注意すべきことは、棚卸資産回転期間が長い(在庫が多い)と、在庫切れ等の機会損失が減りますが、資金も流出(キャッシュ・アウト)してしまう点です。キャッシュ・リッチな企業は別として、在庫は多すぎても、少なすぎてもいけないのです。よって、適正な在庫をどのくらい保有するかは、企業の在庫方針に規定されます。 例えば、牛乳屋さんの棚卸資産回転期間が仮に100日だとしたら、在庫切れの心配はありませんが、100日前の牛乳なんて誰だって飲みたくありません。早急に、適正な在庫水準を検討すべしです! 回転期間による指標は他に、売上代金の回収日数を示す売上債権回転期間(売上債権÷(売上高÷365日))や仕入代金の支払日数を示す仕入債務回転期間(仕入債務÷(売上原価÷365日))があります。 で、これらの指標を、売上債権回転日数+棚卸資産回転日数−仕入債務回転日数という式でまとめると、現金回収のために必要な日数(現金回収日数)が求められます。回転期間を使った簡単なCF(キャッシュ・フロー)経営です。
さて、今期(15年4月〜16年3月期)の連結財務諸表から、トヨタ自動車とホンダ技研工業の棚卸資産回転期間を見ておきます。ホンダの在庫日数は49.8日(765,433百万円÷(5,609,806百万円÷365日))なのに対して、トヨタは29.3日(1,083,326百万円÷(13,506,337百万円÷365日))とホンダの約半分です。 両社の棚卸資産回転期間に関する特徴は、(1)トヨタは、トヨタ生産方式の成功により、自動車業界内でも短いこと、(2)ホンダは、バイクを見込生産しているため、自動車専業メーカーより長いこと、です。 ここでは、トヨタ生産方式を構成するJIT(ジャスト・イン・タイム)生産と小ロット生産に絞って話を進めると、(1)JIT生産では、前工程が後工程のカンバン指示にもとづき生産を行う(プル生産方式)ので、理屈として中間在庫が発生しないこと、(2)小ロット生産では、需要や生産計画の変化に対して小回りが効くので、中間在庫の必要性が小さいことと、中間在庫の削減にすべてが辿り着きます。 トヨタでは、棚卸資産回転期間が短いにもかかわらず、必要なモノを必要なときに必要な量だけ供給できるのは、こうした仕組みがあるからなのです。 ついでながら、小ロット生産の実現には、段取り時間の短縮が前提であることを強調しておきます。段取り替えは、固定的な間接費用であり、段取り時間を短縮できないと、大ロット生産のほうがコスト的に有利になるからです。 トヨタの生産状況について、少しだけ紹介しておきますと、部品点数が3万5千点のセルシオを組み立てるのに42時間、5200tプレス機の段取り替えは3分、不良品は協力工場も含め10PPM(10万分の1)となっています。 いつの間にか、財務・会計から生産管理の話になってしまいました。でも、当期利益が1兆円弱、営業CFが2兆円弱のトヨタ自動車が、トヨタ銀行?とまで呼ばれるようになった背景には、こうした生産現場でのカイゼン努力があるのです。堅実さにかけてピカイチの名古屋商法のお話でした! お金は天下の回りものと言われますが、お金はせっせと努力している人のところにしか集まりません。そういうわけで、けんけんもせっせと努力するということで、今回の@ワードはこれでおしまい。 |
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