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| 森博嗣「すべてがFになる」 お正月気分もあっという間でしたが、お正月といえば初夢。今年はどんな初夢を見られましたか? 今月の@ワードは、けんけんが「マイノリティレポート」という映画に触発されて作った近未来に関する恐ろしい夢物語です。表題のとおり試験にまったく役に立たない無責任な内容ですので、お気楽に読んでください。なお、本文中には私の造語も混ざっていますので、ご注意を! 「けんけんさん、今日は彼女の誕生日ですよ!手ぶらのデートは感心しませんネ。プレゼントに時計などいかがですか?」 店のショーウィンドウをぼ〜っと眺めていると、ブレザーに身を包んだ品のよさそうな店員がニコニコしながら話しかけてきた。 「そうだ。確かに、今日は彼女の誕生日だった!店員さん、教えてくれてありがとう」 「でも、初対面なのにアイツ、なんでぼくの名前や彼女の誕生日まで知ってるんだ〜??」 店員の親切なトークに感謝しつつ、人のいいぼくは真剣に不安な気持ちになる。
世界のマーケティング・シーンに変革をもたらす究極の「ワン・ツー・ワン・マーケティング・システム」が、SS商店街でテスト・ランされた。その名も「リアルタイム・ライフ・フォーカシング・システム(LLFS)」という。 このシステムは、指紋や声紋、目の網膜といった個人特有のバイオ・データで本人を識別し、購買履歴や収入などの個人情報をもとに、「ワン・ツー・ワン・マーケティング」を店舗内外でタイムリーかつ効果的に行うものだ。 識別IDがバイオ・データなので、LLFSに登録されると、発券されたICチップさえ持ち歩く必要はない。客はエリア内に設置されたカメラやセンサーを通じて自動的に認証を受け、財布さえ持たずに買い物できる仕組みだ。システム導入時は、「プライバシーの侵害」だと、マスコミや人権団体等が猛反発したが、みんな「便利さ」にはかなわなかった。法律も改正された。恐ろしい社会だ。 でも、バイオメトリクスは、セキュリティーはもちろんのこと、行政やビジネスになくてはならないものとなっている。銀行のATMやクレジットカード、車やマンションのカギ代わりと、あらゆる場所で使用されている。いわば、システムによる「監視の眼」だ。身近なところでは、電子商取引の必須アイテムとして、携帯電話やパソコンにも組み込まれている。指紋を使った簡易認証端末タイプは5千円を切る位かな。 LLFSは大手コンピューターメーカーとPOSメーカーが共同開発したものだけど、雑誌の話では警察が万引常習犯等の識別・追跡にこっそり利用しているらしい。犯罪者には、なかなか厄介なシステムだ。最近では、バイオメトリクス用のプロテクトメガネとかプロテクト手袋を着用する人も見かける。カメラやセンサーに識別されないためだ。モニタリング(監視)社会では、まったく変な商品が売れる。 「便利なようで、監視されている。自由なようで、コントロールされている。未来って、本当に窮屈!」ぼくはカメラに見つからないように、心の中でそっとつぶやいた。 ちなみに、こんな未来にならないことを祈りつつ、夢物語はこれでおしまい。今月の@ワードを終わるにあたって、森博嗣氏の「すべてがFになる」(講談社文庫)より工学部助教授の犀川(さいかわ)氏のセリフを引用しつつ、しめくくりとさせていただきます。「ぼくら研究者は何もしない。無責任さだけが取り柄だからね。でも、百年先、二百年先のことを考えられるのは僕らだけなんだよ」将来の生活を一変させるかもしれない画期的研究に従事する研究者や小説家のイマジネーションにはいつも本当に驚かされます。それでは、今年もよろしくお願いします。 |
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