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| 孔子「論語:為政編」 先日、私はとある業界団体のセミナーに参加してきました。講演は世界で活躍する某日本人経済学者が、業界の将来について経済学の分野から解説するというものでした。今回は、その中でおもしろかったと思う部分を紹介しながら、「マズローの欲求5段階説」について考えてみます。 それは先生が経済学の勉強をするため、アメリカに渡った頃のお話です。指導教官が講義の中で、「あなたの効用関数を構成する5つの変数について挙げなさい」という質問を学生たちにしたそうです。日常語に直すと、「あなたが楽しいと思う5つの事柄を挙げなさい」とでもなるのでしょうか。みんな思い思いの答案を書きました。 教官は回収した答案を眺めながら、アメリカ人学生と日本人留学生の答案に大きな違いがあることを指摘しました。何だったと思います?それは、当時の日本人留学生の答案には、「旅行に行きたい」とか、「スポーツをしたい」といった遊びに関する事柄がなかったことです。 先生は当時の経済事情を振り返りながら、「日本の所得が今みたいに高くなかったから、遊び半分の留学生などいるはずもなかった。でも、それは所得水準との関係で説明できるのです」と、経済学者らしい説明で何気なく話を締めくくってました。 当時の円は1ドル=360円と、現在の3分の1程度の価値しかない上、外貨の持ち出しが規制されていました。留学は、勉強熱心で超優秀な者しかできない時代だったのです。日本人留学生の答案に、そうした状況が反映されていたとしても、不思議でありませんよね。 さて、人の行動パターンを説明する要因として、「所得」や「価格」以外に、「欲求」があります。マインドの問題とでもいうのでしょうか。ここでは妙なストーリーになりますが、「マズローの欲求5段階説」を私なりにお話してみましょう。少しだけお付き合いください。 例えば、あなたが見知らぬ土地に引越ししたとします。最初は、一息つくため、引越しの荷物を開けつつ、お菓子などで小腹を満たしたり、タバコを吸ったりします(生理的欲求)。次に、ガスの元栓や電気のブレーカーを入れたり、近所のコンビニや交番の場所などを確認したりします(安全欲求)。そして、隣の部屋の人に挨拶に行ったり、ゴミの出し方などのルールについて説明を受けます(社会的欲求)。でも、そんなあなたも数年たつと、マンション組合の役員に推薦されたり、地域でちょっとした有名人になったりします(自我欲求)。さらに数年たつと、地域の誰も知らないこだわりの店の常連となって、自分だけの嗜み(たしなみ)を持ったりします(自己実現欲求)。 という具合に、経済学や経営学の概念をいろいろな身の回りのことに置き換えたりしながら思考実験してみると、面白い発見があるかもしれませんョ。 ちなみに、アブラハム・マズローの大学院生時代の研究は、「サルの性関係と支配関係の特質」(1934)だったそうです。人間愛に貫かれたあの崇高な「欲求5段階説」が、サルの観察結果に何らかの影響を受けていたとしたら、もうびっくりですね。たぶんそんなことはないと思いますが。。 今年も残り僅かです。このコーナーを眺めておられる皆さまが、申(サル)年である来年を自己実現の年と致しますことをご祈念しまして、今年最後のけんけんの@ワードを終わりにさせていただきます。それでは、よいお年を!
*「学びて思わざれば則ち罔(くら)し。思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」 学ぶだけで、考えなければ知識は生かされないし、考えるだけで学ばなければ正しい理解に行き着くことはない、という意味です。 |
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