| ユナイテッド・テクノロジーズ社(米国企業) |

|
1970年から80年代前半にかけては、アメリカにとって本当に苦しい時代でした。
政治面では、ベトナム戦争の後遺症、政治家や政府機関による不正、内部告発、犯罪の増加…。経済面では、為替の固定相場制度の崩壊、石油危機とスタグフレーション…。企業面では、買収・合併に伴う経営陣の交代、従業員のレイオフと解雇、消費者からの苦情とリコール…。
企業は、(外に)外国製品との競争、(内に)ギクシャクした労使関係を抱え、失敗の原因についてお互いがお互いを責め合う、そんな時代でした。SWOT分析でいう「脅威」と「弱点」の最悪の組み合わせです。
レーガン大統領が、サプライサイドの観点から「経済再生計画」を推し進めたのも、ジャパノロジストと呼ばれる青い眼の日本研究者たちが脚光を浴びたのも、ちょうどその頃です。とりわけ、注目されたのが、モラル向上の仕掛けとしてのコーポレート・カルチャー(企業文化)です。それは、当時の日本的経営の「強さ」の秘密を連想させたからです。
自社の「強み」と市場の「機会」の発見、ステークホルダーとの「コミニケーション」、コーポレート・シチズン(企業市民)としての「責任遂行」…。カルチャー探しのプロセスは、企業としてのアイデンティティ(共通の価値理念)やミッション(使命感)を自らに問うことでした。それは、まさに会社レベルでの「自分探し」だったのです。
今回、取り上げた広告文は、ユナイテッド・テクノロジーズ社が1984年7月にウォールストリートジャーナルに掲載したもので、アイデンティティ・クライシス(危機)に陥ったアメリカ社会への心暖まる「問いかけ」です。ちなみに、こういった「社会への問いかけ」を、アドボカシー(ADVOCACY)広告とか、イシュー(ISSUE)広告と呼ぶのだそうです。
かつてはどんぐり
でっかくなるには、まず小さく始めなくてはならない時がある。
(中略)
ディビット・パッカードは、最初の商品の塗料を台所のオープンで焼き付けた。
(中略)
今ここに、小さなことから始めているたくさんの名もない男女がいる。
彼らの名前は20年後、日常語の一つとなっているかもしれない。
君の名前もその中に入っているだろうか?
さぁ始めよう!
(「アメリカの心」(学生社)より抜粋、同書には英語による原文があります)
アメリカは、80年代後半から冷戦の雪解け(平和の配当)とITブームにより、再び「自信」を取り戻します。しかし、労働力の担い手であるベビーブーマーの中には、政府や大企業に対する「不信感」から、既存の組織に頼らないライフスタイル(生き方)を選んだ人たちがいました。起業家(アントレプレナー)やSOHO、NPO等に属する人たちです。チャレンジ精神に溢れる彼らの存在は、やがて政府や大企業に対するカウンターパートナー(健全な対抗勢力)として、アメリカ社会を活性化させる重要な役割を担うまでになったのです。
(リクルートワークス研究所「労働政策 第9回講義 開業支援」より)
(シンクタンクのメッ!中小企業政策を考える「フロンティアスピリットでアメリカの開業率を説明するな」より)
ところで、日経広告研究所の主因子分析によれば、企業広告の出稿目的を「組織の強化」「営業の支援」「経営指針の訴求」「社会との協調」の4つの因子で説明できるとしています。なかでも、地域社会等を意識した「社会との協調」が、今年の新しい因子として注目されています。
(日経広告研究所「企業広告の総合調査2002年度版」より)
かつてのアメリカとすっかり立場の逆転した日本ですが、こんな時代を反映してか、「プロジェクトX」(テレビ番組)のようなメッセージ性の高いコンテンツが予想以上にウケてます。また、「不信感」を払拭するための謝罪広告や、企業活動刷新のための広告も目につきます。そのうち、アドボカシー広告のような企業からの「社会への問いかけ」もお目みえするかもしれません。もし、あなたが広告主だとして、自由に広告が打てるとしたら、どんな「問いかけ」を社会に発信してみたいですか?
|
|
 |
 |
 |
 |
| はじめまして |
 |
担当のけんけんです。
今や21世紀。膨大な情報がデジタル信号に姿を変えながら、国境や海を超え、24時間リアルタイムで、世界中を飛び交っています。
ITに支えられたオープンエコノミーが現実のものとなりつつあるのです。
でも、所詮は人が作り上げた世界。
情報発信、コミニュケーション能力、プレゼンテーション。
21世紀も、人を動かすものは、言葉と信念、そして行動なのです。。
このコーナーでは、人間社会における言葉の大切さを踏まえながら、さまざまなバラエティに富んだ言葉をけんけんが選び出し、紹介していきます。
みなさんもこれはという言葉がありましたら、いろいろなエピソードや思い入れを添えて、けんけんまでメールをください。
ご意見・ご感想も歓迎です。
今後のコンテンツ作りにおおいに反映させていきたいと考えています。
それでは。 |
|
 |
 |
 |
 |
|