LEC東京リーガルマインド > ニッポンのサムライ > 日本公認会計士協会会長 増田 宏一 氏
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会長インタビュー
日本行政書士会連合会会長 宮本  達夫  氏
日本行政書士会連合会会長
宮本 達夫 氏

Q

今年1月に「行政書士法の一部を改正する法律」が成立し、行政書士の業務に関する規定の整備として、行政書士業務に関する聴聞・弁明手続の代理が明確に位置付けられましたが、この点についての所感をお聴かせください。

A

司法制度改革など国の各種政策の中で、法律専門職全体が大きな期待をかけられるとともに、重要な位置を占めるようになり、行政書士も、行政書士制度の目的である行政手続の円滑な実施、国民の利便向上といったことを踏まえ、その役割の充実を図る必要が出てきました。したがって、われわれとしては、今回の改正は、そういった意味で大変有効かつ画期的であったととらえています。
改正のポイントは2つあるのですが、まず1つ目は、行政書士の業務に関する規定の整備です。行政書士の主要業務のひとつである許認可手続に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与等の手続きに係る行為について代理することができるというものです。もちろん、非独占業務として弁護士法の第72条には触れない範囲で行うもので、今回の改正によって明確に規定されました。
われわれは、このような業務の充実を受け、これから業務を行うにあたっては、自らの襟を正し、国民に対してよりいっそうの責任感を持ち、信頼を得ていく必要があります。それは、われわれの義務とも言えます。
そこで、2つ目のポイントとして、行政書士に対する欠格事由、懲戒、罰則に関する規定の整備です。欠格事由の拡充、業務停止期間の拡大、罰則の強化等、コンプライアンス推進のための強化が図られました。具体的には、都道府県知事から業務禁止処分を受けた場合における欠格期間を2年から3年に延長、法律等に違反した者の業務停止の最長期間の2年への延長、さらに守秘義務違反に対する罰金の上限を100万円に上げる等、よりいっそう厳格化されています。われわれにとって厳しい内容ですが、国民のニーズに敏感に対応していく上では必要なものであるとわれわれ自身が改正を要望し、実現に至ったのです。

Q

今般の法改正もそうですが、時代の変化とともに国民が行政書士に求めるものも変わってきていると思います。そのような中で、行政書士の更なる資質の向上を図るため、今後どのような研修を行っていくのか、お考えをお聴かせください。

A

昨年(2007年)、組織改革の一環で中央研修所を発足させました。その目的として、社会変化に対応し得る行政書士の資質の向上が挙げられます。
行政書士は、業務の範囲が非常に広い点が特徴です。今までは、その範囲の広さから、研修の窓口もいくつかに分かれていたのですが、今回、一本化した中央研修所をつくったことで、法律の専門家としての教育を充実させることが出来ました。今後さらにいっそう社会的要請が高まっていくと思われる行政書士の職業倫理やコンプライアンスの向上については、中央研修所でも第一の目標とし、最優先で研修システムを構築していく方針です。

Q

従来の行政書士事務所は1か所に限定され、使用人行政書士も認められていなかったのですが、行政書士法平成15年改正によって、使用人行政書士制度と法人制度の導入がなされています。この法改正を活用した今後の行政書士業務運用面での将来の展望についてお聴かせください。

A

行政書士が共同して事務所を法人化するというものですけれども、これは近時、国民のニーズが複雑・高度化してきたことに対して、より質の高いサービスを提供していきたいという気持ちから、業務の分業化・専業化により依頼者の期待に応えるためのものと言えます。
また、万が一、依頼者に対して賠償責任が発生した場合においても、法人化による賠償能力の向上という点から対応することができます。
それから、継続性の問題があります。例えば、建設業の許可のように継続的に手続が必要なものについて個人の行政書士に依頼している場合には、その行政書士が事故や病気によって受任事務を継続できなくなってしまえば、依頼者は、また一から行政書士を選定して依頼しなければならなくなってしまうということも考えられます。このような継続性に対する不安に対して、依頼者からの受任事務を継続的に遂行して一層の信頼を確保していこうとするのもまた、法人化のメリットと言えます。
現在、約4万人の会員がいるなかで、法人化している事務所の数は130強あります。国民の期待に応え、より質の高いサービスを提供していくためにも、今後ますます増えていくのではないでしょうか。

Q

今後求められる行政書士とは、どのような人材でしょうか。

A

行政書士倫理綱領の中にもあるように、第一に、国民の利便向上に資する人材であることです。社会のグローバル化が進んでいますが、それらに対応して一歩も遅れを取ることなく、時代の波に乗っていく必要があります。

Q

今後の成長・拡大が見込まれる業務についてお聴かせください。

A

これからの行政書士は、世界にも目を向けて欲しいと思います。入管法に関する業務は外国人とのやり取りがありますし、著作権に関しては海外の出版社・著作権者と交渉することなどが必要になると思います。その意味で、日本国民だけでなく世界中を相手にした業務があります。また、海外進出する企業だけでなく、海外の企業を日本へ誘致する業務などがこれからの希望のもてる業務ではないでしょうか。
さらに広くいえば、国民のニーズを的確に読み解き、必要とされる業務を把握していくことが必要です。各行政書士会、連合会ともに国民のニーズを把握してそれを構成員たる行政書士の皆さんにお伝えすることが必要になってきます。
その意味では、今回の改正により聴聞・弁明の代理手続が可能になったのですが、この点非常に勇気付けられました。というのも、国民の利便性向上の観点からずっと訴えてきたわけですが、今回、立法府がこの点についてよく理解していただき、法改正につながったのだと思うからです。ですから、この法改正に報いて国民のニーズに応えていくことが私どもの義務と思っています。

Q

行政書士を目指している方に、学ぶだけでなく、持って欲しい志とは何かをメッセージとして是非、いただきたく存じます。

A

自分の能力を人のために活かし、人の助けとなるように使って欲しいと思います。そうすれば相手も返してくれます。そして、人格の陶冶を怠らないで欲しいと思います。社会が高度化・国際化していく中で、人と人、生き物を大事にし、地球環境まで考えて、業務を行ってください。
「相利共生」や「共栄共存」という言葉があるように、相互に活用し合い、人とともに栄え、ともに生きようという気持ちを持って欲しいと思います。

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