見事一発合格!
なぜ不動産鑑定士を目指したか
私は不動産とは縁の薄い業界で働いていましたが、仕事の上で偶然不動産鑑定士(以下「鑑定士」。)という仕事があることを知り、学生時代に建築士を目指すことを考えたこともあったため、すぐに興味を覚えました。そしてどういう資格なのかを調べているうちに、2006年度から試験制度が大幅に変更されることを知り、これはまさにチャンスと飛びついてしまいました。
受験生生活のスタートから本試験までの過ごし方
1. 2005年4月
自分の性格からすると、私には長期間にわたって仕事と勉強を両立してはいけないと思ったため、2006年度一発合格を目指して2005年3月をもって退職し、まずは資格学校の体験授業や説明会等に参加して学校選びから始めました。最終的にLECの鑑定士合格講座を選択したのは、講義回数が最多であるにもかかわらず授業料が安かったという点が無職の私には都合が良かったからです。
2. 2005年5月から12月まで
合格講座をカリキュラム通りに受講していくと、9月辺りまでは週一回だけしか授業がないため、当初はまだまだ時間があるという気持ちの余裕から全く勉強に身が入りませんでした。そのためまずは勉強するという習慣をつけるよう毎日図書館や自習室に通い、勉強へのモチベーションを維持するために本試験以外にもハードルを設け、6月に商業簿記3級、10月に宅地建物取引主任者(以下「宅建」。)等の他資格を受験しました。
宅建等の勉強は内容が本試験と無関係ではなく、試験が択一式でもあるので、短答式試験(以下「短答式」。)の練習になって一石二鳥でした。簿記3級に関してはかなり会計学の理解に役立ったほか、電卓をたたく練習にもなるので、鑑定評価の演習(以下「演習」。)対策になると思います。
3. 2006年1月から本試験まで
答案練習の授業(以下「答練」。)が増えてくると論文を書くことの難しさを実感させられるため、少しずつ焦燥感を感じ始めました。そこで時間を節約するために図書館や自習室から自宅での学習に切り替え、毎日8時〜12時、14時〜18時、21時〜23時の計10時間を目標に机に向かうよう努力しました。少ない日で5時間、多い日で12時間、平均して一日8時間は勉強していたと思います。
短答式が行われる5月までは毎日集中できない2、3時間を行政法規の過去問題集を解くことに充て、1、2時間を鑑定評価基準(以下「基準」。)の暗記、他を論文式試験(以下「論文式」。)の勉強に充てていました。ただし、短答式直前の1週間だけは論文式のための勉強を全て一時停止し、基準を暗誦する以外は、ひたすら行政法規及び鑑定評価理論(以下「理論」。)の問題集を繰り返し解いていました。短答式終了後は、それまで行政法規に充てていた時間を演習の勉強に回すようにしました。そして8月の論文式までは、毎日少なくとも理論及び演習の問題をそれぞれ1、2題ずつ解くようにし、他の時間で苦手な民法を中心に、経済学、会計学の問題を一日ごとに順番に繰り返し解くようにしました。また、基準の復習だけは毎日絶やさないようにしていました。
科目別勉強法
全科目に共通して、講義中に配布されたレジュメや教材以外にはほとんど手を出しませんでした。過去問に関しても不得意な科目を除いては全く手をつけませんでした。また、基本的に単語カードやサブノート作りは時間の無駄だと思っていたため作りませんでした。ただし、直前期に復習する教材が多いと時間が足りなくなると思ったので、大概「こう書け」に配布レジュメや講座テキスト(以下「テキスト」。)の内容、自分の論証例を書き込んで、「こう書け」一つに情報を集約するようにしていました。
また、使用する教材範囲を広げない代わりに、講義中に使用したものに関しては不要と言われた箇所を除き全ての内容を理解できるように努めました。そのために、フォロー制度を最大限活用し、講義テープ(以下「テープ」。)を何度も聞き直したり、他校で同じ講義を再受講したりしていました。その他にはもちろん先生方には何度も質問させていただきましたし、直前期にはあまり先生方にお会いする機会がないので、電話質問制度を大いに活用させていただきました。
1. 鑑定評価理論
(1)短答式試験及び論文式試験
入門講座が始まった当初は講義内容を理解するだけでも大変で、基準の暗記どころではありませんでした。入門講座に関しては2回生講義を受講し、テープも最低2、3度は聞き直しました。入門講座の内容が理解できさえすれば、次の論文基礎力完成講座はその復習を兼ねた応用編という形式になっているので、スムーズに受講できるように思います。
理論は本試験の主要科目であり、実務に直結する授業でもあるので、一番勉強時間を割くようにしてはいました。しかし、いきなり基準を暗記しようと思ってもなかなか暗記できるものではなく、12月まではその内容の理解だけで満足してしまい、なかなか暗記に取り組めませんでした。ところが、いざ答練が始まると、内容理解だけでは論文は書けないことに気づかされます。そこで年明けからは短答式までに暗記を終わらせるという目標を立てて暗記に取り組むようにしました。暗記には、朝目覚めてから朝食までの時間、勉強に集中できない時間、就寝前、お風呂の時間、通学時間を充てていました。基準を読んで暗記する他は、基準のテープに合わせて暗礁したり、聞き流したりしていました。
短答式は、2006年度に始めて実施されるものだったので、過去問題というものがなく、どういう問題が出題されるのかとても不安でした。そこで、LEC以外の資格学校が実施している模擬試験も数多く受けるようにしました。直前期は、なるべく基準の暗記を徹底するようにしたほかは、LECの予想問題、模擬試験問題、他校による模擬試験問題を何度も繰り返し解いて疑問点を確認し、理解を深めるためにテキストを読み返すようにしていました。テキスト以外には、「要説−不動産鑑定評価基準」(住宅新報社)も数回通読しましたが、テキストだけで十分だったと思います。
短答式終了後から論文式までの間は、毎日基準の5章か6章の他に総論、各論それぞれのうちからいずれか1章ずつを暗誦するようにしていました。また、一日に1、2問ずつ予想問題や模擬試験問題を解き直して暗記の確認と答案作成の練習をしました。
(2)鑑定評価演習
演習に関しては、短答式が終わるまでは週1回ぐらいテキストに目を通して例題を解き直す程度しか勉強していませんでした。短答式終了後は、毎日1題ずつ予想問題や模擬試験問題を解き直していました。また簿記3級の受験対策では答案作成の時間短縮のために電卓を左手でたたくことを勧められたので、私は演習対策の場合でも左手で電卓をたたきながら右手で答案を書くようにしていました。
2. 行政法規
出題範囲となっている法律数が多く、最初はどこから手をつけていいのか途方にくれました。しかし、宅建受験のための勉強で模擬試験を受けたり、問題集を解いたりしているうちに、法律の勉強に対する抵抗がだいぶ緩和されていきました。つまり、行政法規の勉強はとにかく教科書を何度も読み、過去問題集を繰り返し解くことにつきると思います。行政法規の鍵は、記憶の定着化です。行政法規に配分できる勉強時間は少ないですが、接していないとどんどん忘れていくので、小まめに繰り返し復習することが有効です。私の場合、直前期は毎日1〜2時間程度を行政法規の過去問題集解きに充てていました。
3. 民法
私の場合、民法に関しては、宅建受験のために多少勉強したことで安心してしまっていたため、論文を書くための勉強を始めるのが遅れてしまいました。条文を暗記したり、用語の定義を覚えたりと論文対策のための勉強を始めたのは、答案が書けないと悩み始めた2、3月ぐらいからです。まずは暗記カードを購入して基本的な定義を暗記し、あとは徹底して「こう書け」を繰り返し解きました。おそらく10回は回したと思いますが、基本的な論点が多いので、応用問題にも対応できるよう、民法だけは唯一過去問題集を購入しました。直前期までは予想問題や模擬試験問題の論点を復習したり、過去問題集の主要な問題に目を通したりして勉強しました。
4. 経済学
経済学の問題に関しては、出題者の特徴が反映されることが多いため、過去問題集を解く必要はないと言われていたので一切見ませんでした。経済学は基本問題1題と応用問題1題という形式で出題される傾向にあるようです。私はもともと経済が苦手なため、当初は講義内容が全くわかりませんでした。そのため入門講座を2回生受講したほか、論文基礎力完成講座についても繰り返しテープを聞きました。しかし、いったん経済学の流れや考え方がわかってくると、それからは一番楽な科目になりました。なぜなら経済学は、暗記することが少ないため時間を掛けずに済むだけでなく、答案作成に関しては理論構築が簡単なためあまり悩むことなく答案が書けるからです。
基本を確認するには「こう書け」が最適でした。「こう書け」で経済学の全体像を確認しつつ、予想問題や模擬試験問題を繰り返し見直すようにしていました。応用問題に関しては何が出題されるかわからないのでとくに対策はなく、各学校の予想問題の的中度合いによって正答率が左右されると思います。私の場合、2006年度は、LECの予想問題がほぼ的中したので幸運だったとしか言いようがありません。
5. 会計学
会計学の問題に関しては、基本論点が重視され出題者によって問題傾向が変わったりすることはないと言われています。すなわち教養科目の中で最も点が取りやすい科目であるため、最初から基本を中心に勉強して得意科目にしていこうと考えていました。
会計学に関しては、まずは会計用語に慣れるために簿記3級の講義を受講しました。それでもいざ入門講座が始まってみると、やはり会計学は難しく、講義が進行していくにつれ、どんどん理解不能になっていきました。論文基礎力完成講座の講義にあっては、入門講座の理解を前提に進められていくので、ますますついていけなくなりとても焦りました。そこで、まずは入門講座、次いで論基礎力完成講座の全てのテープを繰り返し聞くようにしました。そのうち3倍速でも講義内容が聞き取れるようになると、部分的な理解が体系化され、自分が理解できていない点を先生方に質問できるようになりました。理解が進めば、あとは会計学の場合、暗記勝負なので、定義はLECの単語カードを購入して暗記し、論証例については暗記をするのではなく、ひたすら何度も「こう書け」を読み直しました。
発表当日
試験日程を全て終了した際の手応えは、ケアレスミスをいくつか発見していたほか、もちろんわからなかった問題も多々あったため、あまり良くありませんでした。そのため、合格の知らせを受けたときはなかなか信じられませんでした。お世話になった先生方や応援してくれていた両親、友人たちから「よく頑張ったね、おめでとう!」とお祝いの言葉をいただいて初めて合格という事実を実感できた感じでした。
合格の秘訣
まずは勉強するということに慣れること、そして慣れてきたら、次は勉強に対するモチベーションをいかにして維持していくかが大切だと思います。諦めさえしなければ、基本が重視される試験なので、何とか合格ラインにまでは辿り着けます。そのためには、様々な情報に惑わされることなく、決まった基本教材を中心に勉強を進めていくことが大切です。あまり手を広げてしまうと、勉強した気分にはなりますが、結局は全てが中途半端になってしまって成果が出ないと思います。また、質問することを面倒臭がらず、疑問を疑問のまま残さないことが重要です。
本試験当日はいわゆる受験テクニックも必要です。すなわち、難問はどの受験生も解けないだろうと割り切って、自分が解ける問題で確実に得点できるよう時間配分をする、文字はできるだけ読みやすく書く等基本的なことです。
色々書き連ねてみましたが、最終的な決め手は、論文式の場合、試験が3日間にわたって実施されるので、その日程を最後まで乗り越えられる根気と体力なのかもしれません。これは先生方の口癖でもありました。
