| ○ 小論文パーフェクト基礎編 第3回(テーマ「近代化(司法制度改革)」)
【問題文】
以下の資料文は1967年に発表されたものである。そこでの筆者の主張を検討しつつ、現在進行中の司法制度改革における重要なポイントは何か、あなたの意見を1200字以上1500字以内で述べて下さい。
【資料文】
(前略)
わが国でも、伝統的な法意識は、世界史の上でも目をみはらせるほどに急激な、経済・政治および社会生活の近代化にもかかわらず、------いな、ほんとうは、近代化がそのようなものであったからこそ------、根づよく国民の中に存続してきている。そうして、それゆえ、そのような法意識が、日本近代化の"てこ"となりかつ近代化の象徴ないしは看板ともなった西洋式法体制のもとで、その現実の機能を押しゆがめ、「文字の次元における法律」と「行動の次元における法律」とのずれの日本的な形態を生じせしめた。
(中略)
近代的な法意識は、まだ「行動の次元における法」を全面的に決定するに至っていない。にもかかわらず歴史の進行がその方向に向かっているということについては、まず疑いの余地がなく、好むと好まざるとにかかわらず、もはや時間の問題であるように思われる。(後略)
[出典] 川島武宜『日本人の法意識』[1967年]より調整して作成
【的中!】
慶應義塾大学2007年度「小論文」
【問題文】
訴訟による権利主張に対する日本人の見方について論じた[A] [B]の二つの課題文を読んで、以下の問いに答えなさい。
(問い)
課題文[A]は1967年に公刊された書物の一節であり、課題文[B]でとりあげられた判決は、1983年に下されたものである。このことをふまえ、かつ課題文[A]をも参考にしつつ、(1)課題文[B]で紹介されている紛争におけるA夫妻の行動、(2)この裁判に関する社会のさまざまな反応、および(3)課題文[B]筆者の見解について、合計1500字以上1800字以内で論じなさい。(1)〜(3)について、個別に解答しなさい。
【資料文】
[A]
では、何故にわが国ではこのように訴訟の数が少なく、また弁護士の数が少ないのであろうか。
(中略)
私には、むしろ現代の裁判制度と日本人の法意識とのずれということのほうが、この問題にとってはるかに重要であるように思える。(後略)
[B]
原告(Aさん夫婦)と被告(Bさん夫婦)は、同じ頃、ため池のほとりにある団地に転居してきた・・・その後、A夫妻は、息子の水死についての損害賠償請求訴訟を起こした。
(中略)
この訴訟をめぐる日本社会の特異な反応は、両価値体系の激しいせめぎ合いと衝突の副産物というべきかもしれない。
[出典]
[A]川島武宜『日本人の法意識』137-143頁(岩波書店、1967年)
[B]青木人志『「大岡裁き」の法意識 西洋法と日本人』147-156頁(光文社、2005年)
【的中ポイント】
慶應大学の問題も、LECの答練問題も、いずれも川島氏の『日本人の法意識』を題材にしています。そして、両問題は設問文において「1967年に公刊された書物の一節であり・・・」(慶應問題)、「1967年に発表されたものである」(LEC問題)と、刊行年に解答者の注意を促す点でも同様です。
つまりいずれも40年前の法社会学の古典で示された図式がそのまま日本の「現在」へ適用できるか? その妥当性を問う問題となっています。
では両問題の差異は何でしょうか。それは川島氏の議論と比較対象として指定されているのが、慶應大学の問題では近年の紛争事例とそれを紹介する現代の法学者の解釈であるのに対し、LECの答練問題では近年の司法制度改革であることです。
以上の差異はありますが、法意識と制度の「ずれ」という検討すべきポイントの絞り込みの部分まで両問題は一致していますので、答練は実際の入試問題を解く際のよい予備練習となったはずです。
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