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通巻195号

今月のことば


1.インターネット上の情報
 表をじっくりと眺めていただきたい。
 余計なコメントがいらないほど、日本とアメリカの現状を、そのまま表しているように思われる。 アメリカのインターネットの普及は、ハード面では基本料金に市内通話料金が含まれるという使いやすさ、ソフト面では無料で役に立つ情報を取ることができるという点に支えられ、現在では一億人を越えているといわれている。方や日本では、高くて遅いデジタル回線と、あまりに少ない公的機関の情報開示の下、欧米のみならず、シンガポール等一部アジアの国々と比べても、将来は明るくはない。
 
2.情報公開法−1996年アメリカ情報自由法の改正
 政府系の情報の公開に関しては、法制度として情報公開法がある。去年制定されたこの法律は、OECD加盟29カ国中、15番目に制定されたものである。1766年スウェーデンのプレス自由法から始まり、アジアでは、1996年韓国の情報公開法が一番となる
(http://www.asahi-net.or.jp/~ZZ1S-MROK/9adpzu2.htm)。
 制定の時期が遅いだけではなく、内容を見ても、国家財政破綻の一番の原因である特殊法人の情報を除く等、今ひとつ物足りない点がある。ちなみに韓国の情報公開法は、日本のそれと異なり、特殊法人もその対象とするという
(http://plaza10.mbn.or.jp/~conversation/shimin/route/coo-news-12.htm)。しかし、ここでは、インターネット上の政府系情報日米比較という本稿の観点から、直前の1996年になされたアメリカの情報公開法である「情報自由法(FOIA 1966年)」の改正を見てみよう。
 この改正法は、電子情報についての運用上の諸問題を改正すること、特に連邦政府の電磁情報への公衆アクセスの拡大と公開請求処理の遅延の改善を目的に1996年10月2日に成立した。
 
 
<情報自由法改正法の概要>
1. 情報の定義に「記録」(record)の一項を追加し、電子情報を含むことを明記した。
2. 行政機関の最終意見・命令、政策声明・解釈などについて、1999年末までに、コンピュータ通信手段により利用できるインデックスを作成し、さらに1996年11月1日以降に作成された行政機関の最終意見などは、1年以内に、コンピュータ通信手段その他の電子媒体によって利用できるようにした。
3. 公開の媒体は請求者が希望する形式・フォーマットで変換することが容易であればその形式・フォーマットで公開することを明記した。
4. 電子情報の一部公開の場合に、削除した情報の量を明記し、技術的に可能ならば、削除した箇所も明示することにした。
5. 公開請求の手引きとなる資料やガイドを作成し、公衆の利用に供する様規定した。
 
 公開可能な記録には「電子的なフォーマットのものも含め、あらゆる形態で」保存されている情報が含まれることが明確に規定され、ハードコピーのみでなくコンピュータ端末によってオンラインで手に入るようにすべきだ、ということ規定されている。また、政府機関は文書を電子の形態で検索するための妥当な努力を払う責任があることを明記している
(http://www.usdoj.gov/oip/foia_updates/Vol_XVII_4/page2.htm)。
 日本の情報公開法の下でも、同様のことをすることは、義務ではないが、可能ではある。しかし、この表を見る限り、残念ながら、その努力がなされているようには見られない。その原因を、お上意識の強い日本に馴染まないと「文化」に求める考え方、一括して情報を特定の会社に渡しそこに天下り先を求めるという現代日本の「利権」構造に求めるマスコミの考え方、むしろアメリカが特殊とする「アメリカ異質論」を唱える者等、様々な指摘がなされている。いずれにせよ、インターネットの普及が求められているとするのならば、そこに必要なのは、コンピュータというハードを国民に配るようなことではなく(すでにフランスのミニテルはこれで失敗している。)、インターネット上の有益で使いやすい情報を充実させることが一番であり、その情報を、未だ一番保有しているのが国家関係機関であることを、今一度、考える時期に来ているように思われる。さらに、
「情報」が、誰のためになぜ公開されなければならないのかを考え直す必要があるのではないだろうか。
 「情報なくして参加なし、参加なくして民主なし」(韓国 朴議員)
 「情報は民主主義の通貨である」(アメリカ消費運動家 ラルフネーダ)
 (http://plaza10.mbn.or.jp/~conversation/shimin/route/coo-news-13.htmから)
 
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