↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 通巻 194号

社会保険労務士の現行制度の問題点

1.法制度  社会保険労務士法における社会保険労務士の制度は、「・・・労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。」と同法第1条に定め、これを受けて社会保険労務士の行うべき業務をその第2条第1項に定めている。  この法第1条の考え方は、社労士制度の第1目的を「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与する」ことにあり、これは国が行う関係法令の実施への協力が社労士制度の基本目的となっている。もちろん、われわれ社労士の業務が行政との協力関係において遂行されるわけではあるが、今日、「国民の利便」すなわち「国民の利益」が最優先される見直しを必要とされる事態において、国の法的サービスの一端を担う士業として、この法第1条のあり方は問題なしとしないであろう。  法第2条第1項におい て、社労士が「業」として行う事項が列挙されている。ここは数次の改正によって複雑になっているが、関係法令に基づく申請書等の作成、その申請書等の提出代行、その提出した申請等についての事務代理、関係帳簿の作成、及び相談指導、の5項目が示されている。そして、事務代理の出来る事項については、「主務省令で定めるものを除く。」という制限付きである。相談指導については「労働争議に介入することとなるものを除く。」とされている。  この第2条が、われわれ社労士の業を行うということは報酬を得て業務を行う根拠をなしているところで、本来、報酬を得て他人の法律事務を行うことを禁じた弁護士法第72条の例外を定めたものである。  この規定のあり方は、いわゆる「限定列挙」の方式で定めていて、これ以外の事項は業として行ってはいけませんよ、ということであるが、これを厳密に解釈すれば、社会保険


諸法令以外に関することに業務が及べば法違反となり、業務上は、ここに列挙された業務すら遂行は不可能となり、ここは、国民の利便、受託業務の完遂義務の立場から見直す必要があるであろう。  この第2条第2項のいわゆるレセプト作成除外条項の存在が第1項の規定からみて変則的ではあるが、このことは他の社会保険労務士法各条項と共に、国民利便の立場から当然再検討が行われるべきである。 A法の運用  社会保険労務士法に限らず、すべての法律は、規定がなされた条文を執行するのに、政省令等によりその運用の適正を図り、執行に当たる行政官への指示がなされるところである。従って、本来、法に定めた権利義務がこれらの政省令によって変更されてはならないはずである。もっとも、法の委任のあるものは、一応例外としておくが、それにしても、社会保険 労務士法には、先にも述べた「主務省令の定めるところ・・・」が多すぎる。  この問題の典型が法第17条の「附記」の出来る事項の制限であり、本来、社労士が作成した申請書等は社労士としての専門的知識と申請者等の事情やその他の関連事項を確認し、一定の判断をして作成されるもので、完成された書類になるまでの経過とその書類に記入された事実について、社労士自身が、いわば公証的立場で附記をすることによって、申請書等の目的が迅速に達せられることは国民の権利のため不可欠のことである。 この問題も含め、関係法令の実務上の運用に当っては、様々な窓口での法定外の手続きが必要とされており、これらの運用が法定の根拠がなく国民へ負担を強いていることは、本来あってはならないことで、国民利便の立場から全面的に見直す必要があろう。



 
→Next

↑What's New ←目次
0 1 2 3 4 通巻 194号
Copyright 2000 株式会社東京リーガルマインド
(c)2000 LEC TOKYO LEGALMIND CO.,LTD.