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市民に身近な「支援型法律家」を目指して佐藤 純通氏 日本司法書士会連合会会長/司法書士 聞き手:反町勝夫 株式会社東京リーガルマインド代表取締役 近年、法曹人口の増加もあいまって、司法書士は弁護士との棲み分けのよりいっそうの明確化が求められている。日本司法書士連合会会長として、司法書士の独自性を打ち出す取り組みにあたられてきた佐藤純通氏に、司法書士の存在意義をより確固たるものとするための取り組みについてうかがった。 ■ 反町先生には、受験時代にお世話になっております
LECは今年、30周年を迎えたのですが、佐藤先生は、そのちょうど30年前にLECに通っていただいていたとうかがいました。
はい。水道橋にある校舎で、反町先生に習っていました。私が今でも記憶に残っているのが、司法試験商法・会社法で、一問、法人格否認で優秀答案にしていただいたことです。反町先生から優秀答案と評価いただき、皆さんに優秀答案として配られたことがとても自信になりました。今でもこのことは、自分の中で大きな励みになっています。
ありがとうございます。
この頃、昭和53年法改正で、ちょうど司法書士試験が、認可試験から国家試験に変更になった時期で、いつでも開業できる資格になったことから、受けてみようと思ったのですが、昭和55年に1回で受かりました。当時は、条文や基本書式を押さえておけば出来たようなところがありますが、今はかなり難しくなっています。
そうですね。講義をきちっと受ければ合格できた試験だったのが、かなり難関になりました。 ■ 市民にとって身近で対等な存在である「支援型法律家」を目指す
近年、弁護士人口が増えつつあり、弁護士資格を取っても就職が厳しくなっています。そういった現象は、司法書士に影響が出ているのでしょうか。
近年、弁護士人口が増えたら、司法書士が必要なくなってくるのではないかという意見がありますが、弁護士と司法書士とでは役割が違いますし、私はそのような不要論がが現実化することはないと思っています。市民からすれば、現状において、裁判に発展する見通しの高い、高い専門性が求められるような場合は弁護士、身近な生活紛争、少額訴訟であれば司法書士と、二通りの選択肢がある方が有益となるわけです。
おっしゃるように、弁護士と比べて、司法書士の方が身近で、市民からすると利用しやすさがあるように思います。
司法書士は、市民にとって身近で対等な存在である「支援型法律家」を目指しています。トラブルを抱えた市民は、問題解決に向けて法律家にすべて任せてしまいたいというような場合もありますが、当事者である自分が一番詳しいのだから自ら説明、主張したいというという願望もあります。そこで二人三脚で一緒に動いてもらえる、本人同伴型、同行型の法律家を求めている場合も少なくありません。その際、活躍できるのが司法書士です。本人の意思決定を尊重し、それを法的に支援するという関わり方に、司法書士の独自性があります。
その独自性はどのようにして打ち出されてきているのでしょうか。
もともと司法書士業務には、訴訟代理権を得るより前から、裁判所に提出する書類の作成による訴訟支援という業務がありました。この業務においては、クライアントのお話をよくうかがい、ともに解決していくというスタイルです。私はこのような司法書士の業務に、独自の役割があると考えます。そこで私は、今こそ「生活支援型法律家」としての司法書士の独自性、専門性を追究し、さらに明確に打ち出していくべきだと主張しています。
市民にとって身近な法律家という点をうまく活かし、これまで培われてきた専門性・独自性を拡充させて市民により良いよい法律サービスを提供できるようにすれば、弁護士との棲み分けもよりはっきりさせることができると思います。さらに独自性を出すために、どのようなことに取り組まれているのでしょうか。
以前の司法書士業務は、市民の方々からはその内容が見えにくい金融機関や不動産会社との間で行われる登記が大半でした。この状況を変えた1つの契機が、多重債務問題の解決への取り組みです。全国に50ある司法書士会では、総合相談センターを設置していつでもご相談いただける体制を整えており、私たち司法書士は、相談者のお話をうかがって、個々の事情に応じた適切な解決方法をアドバイスしています。多重債務の解決方法にはいくつかのメニューがあり、場合ごとに留意すべきことがあるので、まずはご相談いただきたいと思います。 ■ 「司法書士」という名称を見直す時期にきている
司法書士という名称についても、見直すという議論があるようですが。
司法書士の業務が、登記業務の他にも裁判業務や成年後見業務等の広範囲に亘るようになった今、業務の実態を正確に表す名称への変更を目指し、「司法書士」という名称そのものを見直す時期に来ていると考えています。司法書士の「書士」は、法的な書面を作成する専門職というニュアンスがあるものの、実際は、書面作成においては法律判断が不可欠で、単なる書面代行ではありません。一方で、行政分野における許認可等の手続を主に取り扱う行政書士という専門職もあり、名称が紛らわしいことから、市民が誤った窓口に相談する可能性もあります。そのような観点から、会員からも名称変更の意見が多数を占めるようになって来た経緯があります。
どのような名称が候補として上がっているのでしょうか。
「法務士」、「司法士」、「法理士」等です。「法務士」は、法律実務という言葉あるいは法律事務を代理するということからきているものです。「司法士」は、「司法」という言葉を残したいという人が多いことからきているものです。「法理士」は、韓国が司法書士の名称を変えるときに、最初に出てきた希望の名称です。しかし、「法理」というのは、日常用語で、物事の道理という別の意味がありますので、その点でいかがなものかと。韓国では、最終的に「法務士」になったのですが、5〜6年かけて変えています。日本司法書士会連合会では、韓国法務士協会との学術交流会をもっていて、年に2回程度は行き来しているのですが、その際に、名称変更に関する法改正運動の膨大な資料をご提供いただきました。やはり、それなりに議論が繰り返され、時間がかかると思います。
それだけ研究、検討して韓国は「法務士」にしたのを聞きますと、「法務士」が良いと思います。
私も、名前と業務の中身が一番近いのは「法務士」ではないかと思っていますが、今後の会内の合意形式をどのように進めるかが問題ですね。
まだまだ議論は続くかと思いますが、佐藤先生のお取り組みも合って、司法書士がだいぶ活性化している様子がわかりました。本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。 ≪ご経歴≫
日本司法書士会連合会会長 |