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激動の時代における弁護士業務のこれから

元榮 太一郎氏 弁護士ドットコム・代表/法律事務所オーセンス・代表弁護士

聞き手:反町勝夫 株式会社東京リーガルマインド代表取締役

近年、弁護士の就職問題が深刻に懸念されるなど、弁護士の世界も本格的な生存競争の時代に入ったと言われている。このような激動の時代においても、人々・社会に求められる弁護士となるためにはどうすればよいのか、弁護士ドットコム代表・元榮 太一郎氏にそのあるべき姿をお話いただいた。


■ 弁護士大増員時代の到来を踏まえて

反町

元榮先生は、WEB上で登録弁護士の弁護士費用の見積比較ができ、さらに法律相談、弁護士の検索もできるという、わが国初の弁護士サービスの見積比較サービス「弁護士ドットコム」を立ち上げられました。その「弁護士ドットコム」のサービスについて具体的にお聞かせください。

元榮 太一郎氏 弁護士ドットコム・代表/法律事務所オーセンス・代表弁護士

元榮

サイトには大きくわけて二つのサービス機能があり、 まず一つは「弁護士サービスの見積比較サービス」です。これは複数の弁護士の見積回答をインターネット上で比較検討する ことで、最適な弁護士を選ぶことができます。それまで弁護士を比較検討することは少なく、難しかったのですが、ユーザー、市民の方、もしくは中小企業の方、法人の大企業の方が、弁護士の各種事件処理の方針、費用、プロフィール、実績実務、経験などを比較検討しながら、より自噴に最適な弁護士さんを選べるサービスを提供していこうというものです。もう一つは「インターネット法律相談」で、24時間365日、世界中どこからでもインターネットで弁護士と相談できるサービスです。

反町

現在、どのくらいの弁護士が登録し、どのくらいの見積・相談件数が寄せられているのでしょうか。

元榮

2009年8月現在で登録弁護士数約1500名で、見積・相談件数の累計は14300件以上です。3年程前、法律文化で取材いただいたときよりも、弁護指数は約6.7倍、見積・相談件数の累計は7.6倍と大きく伸びています。

反町

ここまでくるのにいろいろとご苦労もあったことと思います。

元榮

弁護士の方に登録してもらうことは大変でした。弁護士は、職業柄、保守的に物事を考える癖がついています。前例のないモデルで、まだ始まったばかりのサイトに登録するのは普通の方以上に躊躇する方が多いと思います。そこで、われわれは、その趣旨、サイトの理念、サイトの安全性、さらに、弁護士法の分野で著名な弁護士の先生にも適法に運用できるという意見を得たといった法律適合性を説明してご理解頂き、ご登録いただくわけですが、最初の段階は少なからず苦労しました。しかし、それは予め覚悟していたので、さして苦労と思いませんでした。

元榮 太一郎氏、反町 勝夫対談

反町

昨年6月には、弁護士専門の人材紹介サービス「弁護士ドットコム転職ナビ」も始められたようでようですが。

元榮

「弁護士ドットコム転職ナビ」は、「弁護士ドットコム」のネットワークを活用した弁護士専門の人材紹介サービスで、弁護士のキャリアアップを支援するものです。転職を希望する弁護士に、厚生労働大臣の許可を受けた有料職業紹介事業者として、弁護士を採用したい法律事務所や企業の求人情報の提供や、転職についての個別相談を行っています。

反町

弁護士専用の転職支援事業を始められた経緯は。

元榮

弁護士増員の時代に入り、法科大学院の開校や新司法試験の実施開始など、近年の司法制度改革の推進により、日本弁護士連合会が発足した1949年から2007年までの約60年間で約17,200人の弁護士増加数だったのが、これからの8年間で従来の約9倍のペースとなる約20,000人の増加予測となっており、まさに弁護士大増員時代の到来が目前に迫っており、弁護士の就職難とキャリアの流動化が強く叫ばれている状況です。そこで、弁護士増員時代を目前に控えて、特に将来の法曹界を担う若手弁護士の就職先・転職先を確保することこそ社会的意義にかなうと考えました。

■ 弁護士法第72条の論点

反町

弁護士は、弁護士法第72条(※)により、仲介業を通して依頼者を紹介してもらうということができません。「弁護士ドットコム」を立ち上げられた際、この点はかなり問題になったのではないでしょうか。

元榮

おっしゃる通り、そこが一番の問題でした。われわれのサービスはいわゆるマッチングサービスの一種ですが、弁護士と依頼者をつなぐことによって何かの報酬を受け取るというビジネスモデルをそのまま提供することは、弁護士法第72条に反し、法律違反になってしまいます。当初はここから収益を上げるビジネスモデルを考えたのですが、現行法での合法性が100%クリアでないこともあり、「弁護士ドットコム」のビジネスモデルは、当初の想定通りにならず、かなり限定したかたちでの実現となりました。まずは弁護士の方に1人でも多く理解していただき、サイトに登録していただくことを考え、最もコンサバティブなビジネスモデルで始めることにしたのです。サイトには法律相談の機能もありますが、それも相談に応じた先生が相談料を取るだけで、こちらでは全く収益がありません。

反町

法律に違反しないスキームをつくるのも大変だったのではないでしょうか。

元榮 太一郎氏 弁護士ドットコム・代表/法律事務所オーセンス・代表弁護士

元榮

弁護士法第72条のために、司法アクセス向上に資する有益なサイトであるにもかかわらず、それまで弁護士と市民、依頼者をつなげるマッチングサイトがこれまで皆無だったといっても過言でなく、かなり規制しているものであると言えると思います。 われわれは、弁護士法の分野で著名な弁護士の先生方のご協力を得ながら研究検討を重ね、法律に違反しないかたちでスキームを実現しましたが、規制していた法律を改すかたちでいかにしてやるかというところで苦心しました。

反町

長年、私は弁護士法について、問題提起してきています。1999年に司法制度改革審議会が内閣に設置され、2001年に司法制度改革推進法が成立して実際に動き出しましたが、当時、私は弁護士法改革を提唱してきました。その中で、弁護士事務所の法人化や弁護士が営利業務に従事する際の許可制を届出制に移行するといったことは実現しましたが、第72条は変えられませんでした。今後も第72条は大きな課題でしょう。
元榮先生は、今後はいかなる展開をお考えでしょうか。

元榮

今後は、専門職サービスをもっと身近に、もっと便利に、という理念の実現のために、専門職情報サイトとして、行政書士、弁理士、ファイナンシャルプランナー、医師、歯科医師などにも対象を広げていきたいと考えています。また、日本のみならず、中国などのアジア地域への展開を通じてアジアで最も利用される専門職情報サイトを目指しています。

反町

今後のますますのご活躍を祈念します。本日はありがとうございました。


※ 弁護士法第72条:第七十二条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。


≪ご経歴≫

弁護士ドットコム代表/法律事務所オーセンス・代表弁護士
元榮 太一郎(もとえ たいちろう)
1975年米国シカゴ生まれ。1998年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。1999年司法試験合格。2001年第二東京弁護士会弁護士登録。2001年アンダーソン・毛利法律事務所(現アンダーソン・毛利・友常法律事務所)入所。2005年1月元榮法律事務所開設。同年8月日本初の弁護士の見積比較サイト「弁護士ドットコム」運営スタート。2006年5月法律事務所オーセンス開設(弁護士13名、パラリーガル50名 2009年現在)。著書に『刑事と民事』(幻冬舎新書)、『会社の法律がなんでも分かる本』(日本実業出版社)など。

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