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震災時における土地家屋調査士の社会的役割

木村 保成氏 静岡県土地家屋調査士会会長/元日本土地家屋調査士会連合会理事/土地家屋調査士

聞き手:反町勝夫 株式会社東京リーガルマインド代表取締役

1995年阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越大震災、2007 年の新潟県中越沖地震といった大地震もあり、近年、全国的に地震への備えについて関心が高まっている。長年にわたって東海大地震の発生が危惧され、その備えが進められている静岡において震災対策を進められている木村保成先生に、震災時に土地家屋調査士が果たす役割についてうかがった。


■ 速やかな復興活動のために会

反町

2009年4月に、静岡県土地家屋調査士会は、静岡県と37市町との間に災害時における家屋被害認定調査に関する基本協定を結ばれましたが、どのような内容なのでしょうか。

木村 保成氏 静岡県土地家屋調査士会会長/元日本土地家屋調査士会連合会理事/土地家屋調査士

木村

この基本協定には、静岡県土地家屋調査士会が家屋の被害認定業務に関する応援要請に対応することのほか、静岡県が家屋被害認定業務について市町村の職員および同調査士会会員向けの研修会を開催するなどの要項が盛り込まれています。地震や水害など自然災害で被害を受けた建物に対して、支援金の支給や災害保険の認定、被害者生活再建支援法の適用などを申請するためには、家屋被害認定調査により自治体が発行する罹災証明書が必要となります。調査は通常、自治体の担当職員が行うのですが、東海地震など大規模な災害時においては、人手不足になることが懸念されています。こうした実情を踏まえ、災害発生の際に県・市・町の職員と連携し、家屋被害調査にあたることを約束するものとなっています。

反町

どのような経緯で、この協定を結ぼうとされたのでしょうか。

木村

近年、わが国でも各地で大震災が発生し、そのたびに、被災した市民が「一日でも早く元の生活を取り戻したい」と切実に訴える様子が報道されています。行政は、地震が起きるまでのことについては、綿密にシミュレーションし、防災計画も立てているものの、その後のことは民間任せです。その様な状況に対し、われわれは、かねてより、「元の生活を取り戻す」ためには、「被災後に土地家屋調査士と行政が連携して建物被害調査を迅速に行わなくてはならない」という問題意識を持っていました。そこで静岡県土地家屋調査士会では、速やかな復興活動に協力するのは当然の使命だと考え、自らアクションを起こし、静岡市と本年4月1日県下37市町との協定の締結を完了しました。

木村 保成氏、反町勝夫対談

反町

静岡は、かねてより東海大地震の危険にさらされ、他の都道府県よりも地震の備えへの意識が高いと聞きます。それでも、土地家屋調査士の地震対策への関与が最近のことであるとは驚きました。

木村

今でこそ、行政より声をかけていただき、連携していますが、つい最近までは、われわれの存在が希薄であり、通常業務以外に行政から声をかけていただくことはもちろん、連携するということもありませんでした。しかし、静岡県内の各自治体との災害時連携体制を整備していく中で、災害時の土地家屋調査士の役割についての理解も進み、広く市民への周知も図っていくことができました。一連の協定締結は、テレビや新聞などでも大きく報道されたので、協定と併せて土地家屋調査士の知名度も高まってきていると感じています。

■ 復興の足がかりとなる状況把握と境界復元

反町

地震が起きたら、土地は、伸びたり縮んだりしてズレ、場所によっては崖崩れになってしまい、どこが境界線か分からなくなります。この土地は誰のものなのか、特定するのが非常に困難な状況になりますし、震災後の復興活動で、まず問題になるのは、やはり土地ではないでしょうか。

木村

変動した境界を調査し、現状を把握し境界の復元をしなければ、いつまでたっても復興はできません。そういう意味では、変動の大小により境界復元の方法は異なりますが、土地境界移動に伴う境界復元や境界問題の解決にも土地家屋調査士が役立つ事ができると思います。

反町

その調査をする土地家屋調査士の役割は、極めて重要ですね。

木村 保成氏 静岡県土地家屋調査士会会長/元日本土地家屋調査士会連合会理事/土地家屋調査士

木村

法第14条地図(※)を作成することも踏まえれば、土地家屋調査士の力が必要となるところでしょう。われわれが補助し発行する罹災証明書は、まず現地に出向き、被災地がどのような状態になっているのか、地殻の変動があったのか、その点をも見ることができ、その上で建物の滅失登記など実務に反映する事ができます。

反町

被災した場合、土地家屋調査士が何をどの程度やるべきだという研修は進んでいるのでしょうか。

木村

内閣府による被害認定指針に基づき進んでいます。多くの人口を抱えている政令指定都市の静岡と浜松など多くの市町では既に終わっています。しかし、将来起きるであろう地震等の災害については、日常から備える事が不可欠であり、土地家屋調査士自身にとっても非常に有益な事と考えています。

反町

土地家屋調査士が、わが国の国土を守る上で重要な役割を担っていることを実感しました。本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

(※)法第14条地図:不動産登記法第14条に規定され、登記所に備え付けられている図面。登記された各筆の土地についてその筆界(公の境界)を図上に表示し、一筆地の位置および形状を明らかにし、登記記録の表題部に記録された事項とともに、権利の客体となる土地自体に関する公示機能を果たすことを目的とする。基本三角点、基準点等を基礎とする測量により作成されるため、地震などにより筆界が不明となった場合でも、この地図に記録された事項に基づき現地に筆界を復元することができる。しかし,いまだ都市部においての備え付けは少ないのが現状である。

≪ご経歴≫

静岡県土地家屋調査士会会長/元日本土地家屋調査士会連合会理事
木村 保成(きむら やすなり)
1994年静岡県土地家屋調査士会沼津支部副支部長。1996年静岡県土地家屋調査士会理事。1998年静岡県土地家屋調査士会沼津支部支部長。2000年民事調停委員(現職)。2001年静岡県土地家屋調査士会副会長、家事調停委員(現職)、司法委員・鑑定委員(現職)。2002年人権擁護委員(現職)。2005年日本土地家屋調査士会連合会理事。2007年静岡県東部・御殿場感染症診査協議会委員(現職)、静岡県土地家屋調査士会会長(現職)。

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