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金融危機におけるFPのあり方

伊藤 宏一氏(日本FP協会常務理事)

聞き手:反町勝夫 株式会社東京リーガルマインド代表取締役

アメリカのサブプライムローン問題を契機に世界経済が混迷し、日本経済も先行き不透明となっている最中、FPはどのような役割を果たしえるのか。FPのあり方と、知識としてのFP資格の活用について、専門職大学院教授やFP会社代表取締役を務め、理論と実践を兼ね備えた唯一のFP とも言える伊藤宏一氏にうかがった。


■ FPを取り巻く現状

反町

今、FPが抱えている問題とは何ですか?

伊藤

ひとつの問題点としては、FPという職業の位置づけですね。つまり、FPの認知度は非常に高まっているけれども、それに見合った社会的な地位や収入が、弁護士、公認会計士、医師と並ぶところまではいっていないと認識しています。また、経済環境的な問題としては、この金融危機で日本の金融機関も厳しい面もありますので、来年2009年金融機関内のFPおよび独立系FPの数や収入が減るのではないかと心配しています。
しかし、その反面この金融危機で、「やはり金融機関任せではダメだ、安心してお金のことを相談できる人がほしい」と思っている方もかなりいらっしゃいますので、そういう意味では信頼を得るチャンスだという認識もあります。

反町

確かに、むしろこういう時期だからこそ、FPはチャンスなのでしょうね。

伊藤 宏一氏(日本FP協会常務理事)

伊藤

また、最近のFPは、国際的な広がりも出てきています。日本周辺の諸国ではCFPを導入する国が大変増えています。私が勤めている千葉商科大学大学院でも中国から留学生が来て、中国人留学生で日本のCFP資格取得第一号が出たのです。やはり日本で資格をとって中国に帰ると非常に評価されるようです。

反町

そうでしょうね。日本のCFP資格は難しいですから。

伊藤

アメリカですと、FPの教育は大学が基本ですから、FPの実務家で大学の先生という方はたくさんいらっしゃいます。また、全米どこの州に行っても、FPがいて、FP事務所があります。非常に人気の高い、しかも地域に根ざした仕事ということでいうと、弁護士さんと同じようなところがあるのだと思います。しかし、日本は残念ながらそこまでいっていないので、アメリカのようにするために何をすべきか、いろいろ考えてはいるのですが。

反町

日本の場合は、まだ個人の投資や資金運用、財産運用の面がアメリカほどは発達していないですからね。アメリカの場合は、個人の資産家が多くいて、FPが医者と同じように活躍できる場が多いのでしょう。

伊藤

日本の場合も、最近は貯蓄から投資へと言われ、金融資産運用の志向も出てきています。しかし、資産全体をどのようにバランスをとるかという意識が弱いところがあります。
この金融危機でさまざまな方の相談を受けているのですが、金融資産のバランス、ポートフォリオ(資産構成)を見ると、大変アンバランスな方が圧倒的です。それもご自分できちんとポートフォリオを組んだというよりも、金融機関に任せっぱなしだったという人もいることから、もう一回その方のライフプランに合ったポートフォリオを再構築するのが重要だと思います。

反町

そうでしょうね。その時々にあった資産構成もあるでしょうし。

伊藤

その方にあった資産内容にするのがFPの仕事ですね。今は、不安も大きいので、需要は高いと思います。やはり、高齢の方で退職金を手にした方が結構、利用していらっしゃいますから。とにかく、今の不況が短期間で終わって、日本経済がよくなり、多くの人が老後の豊かさを享受できるようになることが非常に大切だと思います。

反町

そのためにも、多くの人がFPを勉強するのがよいのではないかと思います。特に高齢者の場合は、自分でなんらかの資産を持っているわけですし、自分の財産をしっかりと管理するためにも勉強した方が良いでしょう。

伊藤

FPという資格は、活用の仕方が結構広いのです。つまり、専門的な職業として独立することもできれば、金融機関業務や他の士業のセカンドライセンスということで使うことこともできます。また、生活の知恵ということで役立てることもできます。日本は学校教育の中で金融経済教育をしてこなかったこともあり、昔からお金は汚いという観点もあります。しかし、お金は生活に役立つもので、役立てなければならないものです。ある雑誌で、「金融は英語よりグローバルスタンダードだ」という言葉がありましたが、誰でもお金のことはよく知っていなければならない時代になっていると思います。したがって、社会人の方が、FPの資格取得を通じて金融知識を身につけられることは、生活の面において大変役立つと思います。

反町

そうですね。ある程度お金も貯まってくると、生命保険や住宅などの問題が出てきますから、自分の財産を踏まえてやりくりする際に、勉強して役立つのはFPですよね。
学生についても、金融の勉強をすることで、金融機関や保険会社が何をやっているのかが分かり、就職を考える上でも役立つのでよいですね。

伊藤 宏一氏、反町勝夫対談

伊藤

そうですね。今、大学の教養課程でFPを教えるところが増えています。僕も前に高知大学経済学部で講義をしていました。

反町

それはいいことですね。

伊藤

消費者金融の問題もありますし、トラブルにまきこまれないという意味でもやはりFPの知識は身につけておいた方がいいと思います。

反町

どこかに「お金は汚い」という意識があるからか、皆、財産の管理・運用に無頓着できてしまうところがあるのでしょう。その結果、いろいろな犯罪に巻き込まれたりすることもあります。

伊藤

お金との正しい付き合い方っていうのを勉強しないといけないと思いますね。

■ FPから見た日本経済

反町

先生からご覧になって、日本経済はいつくらいに底を打ちそうですか。

伊藤

来年2009年は大変厳しいと思います。しかし、3年くらいで、上向いてくるような気がします。
最近、ヨーロッパでは環境政策によって雇用をつくっています。フランスでは、CO2を多く出す車を買うと罰金が科せられ、CO2を出さない車を買うと報奨金を出すという政策をサルコジ大統領がとっています。フランスでは、そのような政策によって多くの人がCO2を出さない新しい車を買うことから、自動車産業での雇用もわずかながら増えています。
環境をもっと産業化し、そこから雇用を創出するというのが21世紀型の、いわゆる緑のニューディールです。不況脱出の道のひとつとして、その環境ビジネスがひとつ挙げられるかと思います。

反町

そういう意味では、日本はまだ発展・成長の余地があるということでしょうか。

伊藤 宏一氏(日本FP協会常務理事)

伊藤

日本の環境技術は、大変優れています。日本には、ハイブリット車などの環境対応車開発、植物性プラスチック開発、海中の植物性プランクトンに鉄粉をまくことによって二酸化炭素を固定化させる技術など、極めてすぐれた環境技術開発をしている企業が数多くあり、その環境技術は、大変優れています。
しかし、それでも当面は厳しいのではないかと思います。と申しますのも、給料が下がって物が売れなくて、物価が下がっていくというデフレの懸念があるのです。アメリカは相当ですが、日本も1年くらいはデフレ気味になるのではないかと。

反町

なるほど。このような時は、どのようにして過ごせばよいのでしょうか。

伊藤

そうですね。資産には3つあるのですが、金融資産と実物資産以外に、経済的価値を生む資産ということで人的資産があります。したがって、資格を取得をしたりキャリアを磨いたりなどして自分の人的資産価値を高めておくことが、今とても重要です。そして、好況になって収入が増えたら、それを金融資産に回す。3つの資産のバランスが必要なのだと思います。

反町

人的資産への投資ですね。私も、今回の不況を通して、大学生も大学の勉強だけでなく、よく資格を取るようになってきたと感じています。本日は、お忙しい中、ありがとうございました。

≪ご経歴≫

日本FP協会常務理事
伊藤 宏一(いとう こういち)
千葉商科大学大学院教授、ソニー株式会社FP 相談室顧問。株式会社ポラーノ・コンサルティング代表、CFP(R)・税理士。著書に『ライフプランニング―理論と事例―』(セールス手帖社)、『金融商品なんでも百科』(監修 金融広報中央委員会)等、多数。 1993年、生活者のライフプランを経済的側面から支援する「共生のFP」をめざす「ライフプラン倶楽部」を設立。企業・労働組合等でライフプランセミナーやマネー相談を行う。NHK「家計診断おすすめ悠々ライフ」等に出演のほか、新聞やマネー雑誌に数多く執筆。

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