2006年度 行政書士 試験講評(合格発表を受けて)
2007年1月29日
LEC総合研究所 行政書士試験部
平成18年度本試験合格発表を受けて
1.平成18年度本試験の結果
1月29日に財団法人行政書士試験研究センターから平成18年度本試験結果が発表されました(申込者88,163名、受験者70,713名、合格者3,385名、合格率4.79%)。受験率が例年よりも低かったのは、記述式問題の出題方法の変化などからの受け控えが原因と思われます。試験制度が大きく変化したため、単純な比較はできませんが、平成17年度本試験の結果と比べると、合格率が大幅に増加しました(2.62%⇒4.79%)。もっとも、5%を下回る合格率にとどまったことにより、一般的にいえば、まだまだ「易しい」試験とはいいがたいでしょう。なお、今年度から採用される可能性があった「補正的措置」は今回の試験については採用されなかったようです。
2.平成18年度本試験全体講評
平成18年度本試験は、一見易しそうで実は難しいという問題が多かったようです。例えば、問題2は、正誤問題形式で出題されていれば消去法で正解できそうな問題ですが、個数問題形式であるために難易度がかなり高くなっているものと思われます。問題11についても、「聴聞と弁明」の比較という点に気をとられて、肢5を選んでしまったという方も多いでしょう。予備校間で見解が分かれていた問題31についても、個数問題で解答させるにはかなり厳しい問題だったかもしれません。 ところで、問題5については、LECは、肢5を正解として発表しておりました。本問は、決して易しい問題ではなく、各選択肢の記述とほぼ一致する記述が判決文に書かれていたために「誤っているもの」はそもそも存在しないのではないかという可能性も考えられました。ただ、肢5については、14条違反の有無が主要な争点であり、判決文全体の趣旨から考えて、妥当性を欠く記述ではないかと考え、肢5を正解として提示した次第です。これに対し、行政書士試験研究センター公表の正解によると肢3が正解とされていますが、疑義が残ります。
3.今後の学習にあたって
平成18年度本試験から試験制度が改正され、法令科目重視の試験になりました。今般の改正に伴い、五肢択一式が1問あたり4点、多肢選択式が1問あたり8点(空欄1つにつき2点)、記述式が1問あたり20点と点数配分も変化しましたが、合格基準は当初の発表どおりであり、受験者が目指すべき6割というラインに変化はありません。
今回の試験は、新試験初年度ということもあって、まだまだ知識重視型の問題が多かったように思われます。思考力の有無は記述式問題で測定するという出題意図がうかがわれますが、記述式は3問しか出題されないので、今後は五肢択一式において思考力を問う問題が増加することが予想されますとはいえ、基本的な試験対策方法は不変です。すなわち、基本的な条文知識(趣旨・要件・効果)と基本的な判例知識(判例による条文解釈)をマスターし、これらの基礎力の上にさらに問題演習を行うという正攻法の学習を実践することです。平成19年度本試験の受験者の方は、これから約9ヵ月にわたって試験対策をしていくわけですが、9ヵ月間でできることは限られています。最後に、再受験をされる方に一言申し上げておきましょう。「こんなことは分かりきっているから、もっと難しいことを勉強したい」という慢心は禁物です。どんなに偉大な学者でも一生をかけて一つの法律の解釈すらきわめられないというのが学問の現実です。そのような「学問」の世界に迷い込んでしまうと、なかなか抜け出せません。基本事項の習熟に務めること、既に一度学んだことを色々な角度から見直してみること、そのための素材として問題演習を利用すること、これらの諸点を常に念頭に置きながら今一度基本を見直す学習をしてください。
以上




