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Fri, 24 Aug 2007
[戸田宏治] |
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第46回(8月24日) 「景気は曲がり角?」
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受講生の皆さん、こんにちは。残暑お見舞い申し上げます。
皆さんはお盆休みをどのように過ごしましたか。
私は最近仕事が多くて具合が悪くなってしまい、
お盆休みはずっと休養していました。
その間に景気の先行きが危うくなるような状況が発生してしまいました。
世界最大の経済大国、アメリカの景気を支えていた「住宅投資」がおかしくなってきて
います。前回、2004年の大統領選挙のときから住宅投資が行き詰るとアメリカ経済は
減速すると指摘されていましたが、そのときがとうとうやってきたわけであります。
アメリカでは、所得の低い人やクレジットカードの延滞を繰り返す人を対象とする
住宅ローンに「サブプライムローン」というのがあります。
一般の住宅ローンよりは審査基準が緩いものの金利が高く、
日本でいえば消費者金融から融資を
受けて住宅を購入する場合と考えればいいのではないでしょうか。
アメリカで住宅ローンを借りる人の約15%が利用し、残高は約1兆3千億ドル
(住宅ローン全体の10%)に達しているようです。
先月、アメリカ連邦準備理事会(FRB)はサブプライムローンの焦げ付きが最大1千億ドルに
達すると表明しました。
これによって「信用」で成り立つ金融システムが連鎖的な収縮をはじめています。
このサブプライムローンの特徴は、最初の2〜3年が固定した低金利で元本の返済義務
はなく、その後は市場利子率を反映して高くなっていく仕組みにあります。これを利用すれば、
日本ではとても考えられないような住宅を低所得者が手に入れることができます。
しかし、このシステムがうまく機能するのは住宅価格が「右肩上がり」の間です。
住宅価格が上昇している間、ローンの借り手は担保価値が上がっていくにしたがって借入額を
増やすことも可能です。また、ローンの貸し手は融資のリスクが低減していくなかで利益を
得ることができます。
アメリカの住宅ローンは、ローン債権を組み込んだ金融商品というかたちで証券化されることが
多いのですが、リスクの低い一般の住宅ローンの場合は年金の資産運用に充てられ、
サブプライムローンはハイリスク・ハイリターン型の商品としてヘッジファンドが扱う商品となっ ているようです。
債権の証券化は、一定のリスクを小口化して販売することにより、
実際のリスクに比べて投資家のリスクを大幅に引き下げることにメリットがあります。
商品価格が上昇すれば、投資家が引き受けたリスクはますます低減し、
最終的にはほとんどリスクなしで利益を得ることができます。
そうなると市場にはさらに資金が集まり、
取引が拡大していきます。しかし、ここで忘れてはならないのは、
実体経済のリスクそのものが減少したわけではなく、
市場の拡大による投資家一人当たりのリスクが小さくなったにすぎないという点です。
しかも、こうした商品は世界中で販売されていますから、
単なるアメリカの国内問題ではありません。日本でも株価が大きく下がりました。
現在、東京証券取引所で売買される有価証券の約60%が外国人によるものです。
外国人投資家はアメリカで失った損失を補填するため、日本企業の株を売却しています。
また、アメリカでも大きく株価が下がったため、低金利の円を借りて高金利の通貨で運用する
「円キャリー取引」を中止せざるを得なくなり、外国人投資家は借りていた円を買い戻し、
その結果として円高が進んでいます。金融システムがひとたび収縮をはじめると銀行や投資家は
損失を最小限にしようとするため、ますます資金を引き上げようとしているわけです。
先日、FRBは公定歩合を0.5%引き下げましたが、サブプライムローンに発した信用収縮とは別次元の
問題ですから、これによって株価下落に歯止めがかかるとは思えません。
日本では20年ほど前に「バブル経済」という現象が起きました。このときは土地・株が
右肩上がりでしたが、ある商品の価格が上がり続けていることを前提に出来上がった
システムは、必ずどこかで終わります。
金融商品が高度化すると、信用の膨張と収縮は瞬時に、大規模に発生するようになります。
今後、どのようなかたちでシステムが再構築されていくのか注目したいと思います。
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