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Thu, 27 Apr 2006
[戸田宏治] |
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第15回(4月26日) 「自己責任とは言うけれど」
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受講生の皆さん、こんにちは。
私は今「専門セレクト・財政学」を担当しています。講座を受講している方々、ご理
解いただけているでしょうか。財政学は経済原論の応用版ですから、講義中に「貨幣
数量説」「費用逓減型産業」「IS−LM曲線」といった単語を何度も使用します。講義
をしているとよくわかるのですが、これらの単語を聞いた瞬間に「えっ」という表情
をされる方が結構います。
おそらく「何度か聞いたことがあるけど、意味がはっきり思い出せない」ということ
でしょう。公務員試験は科目数が多いため、1つの科目に十分な時間を費やすことが
難しいと思います。そういう意味で、財政学は「復習科目」でもあります。よく思い
出せないところはしっかり復習をし、わからないところは遠慮なく質問してくださ
い。
さて、財政学の内容と重なりますが、13日の日本経済新聞(夕刊)によりますと、
日本では2001年に導入された「確定拠出型年金」(日本版401K)が急拡大してい
るようです。3月末の時点で前年度比5割増の6,600社強、加入者は1月末時点
で180万人弱、同年金向け投資信託の残高は3月末時点で8,000億円となって
います。
この年金制度は、毎月一定金額を積み立て、老後の資金に充てるため「定額積み立て
預金」に似ているといわれることがあります。
しかし、掛け金は債券や株式によっても運用しますので、元本が保証された預金とは
大きく異なります。特に、株式は大当たりすることもあれば「紙グズ」になることも
あります。従って、運用成績によっては受け取り額が掛け金を下回ることもありま
す。
従来の日本の年金制度は、老後の受取額をあらかじめ決めておき、運用成績によって
掛け金の負担を変化させていく「確定給付型」でした。受取額が決まっていますの
で、老後の生活設計には有効でしたが、バブル崩壊後、金利が低下し、掛け金を折半
する企業側の負担が急上昇しました。加えて、この制度は転職の際の移転が確保され
ていないため、1990年代から拡大した転職、中途採用の増加には対応できません
でした。
そこで、政府は2001年6月に「確定拠出年金法」を成立させ、同年10月から施
行しました。
この制度の大きな特徴は、掛け金が個人単位となり、その運用成績がその人の給付額
になる点です。つまり、各個人が自分の「通帳」を持つことになりますから、転職に
よる不利益を受けることはありません。また、給付型の場合は企業の負担が重かった
ため、中小零細企業や自営業者は制度を導入していないところが多かったのですが、
拠出型は導入しやすくなっています。
事実、昨日の日本経済新聞の報道でも、拠出型の年金は大企業が中心でしたが、最近
は中小企業にも拡大してきているようです。
ただ、拠出型で注意しなければならないことは、自分の掛け金をどのように運用する
かを自分で決めて責任を負わなくてはならない点です。例えば、堅実な運用を行いた
い人は預金・債券を中心に運用し、リスクが高くても掛け金を大きく増やしたい人は
株式を中心にすればよいわけです。預金が中心となると、リスクは低いものの受取額
が大きく増えることはないでしょう。一方、株式が中心となると、リスクが高まるも
のの、うまくいけば受取額を大幅に増やすことができます。
日本では株価が低迷していたこともあって、導入には時間がかかりましたが、企業側
の掛け金の上限が撤廃されたことや、最近の株価上昇によって制度導入が増加してき
たようです。
近年になって、年金やその他の資産運用で「自己責任」が叫ばれるようになりまし
た。
私はいつも「自己責任」という言葉を聞くと違和感を持ちます。自分の老後、あるい
は自分の資産運用が自己責任なのは当然のことであって、今ごろ自己責任を強調する
のは、今までが自己責任ではなかったからだと思うからです。
「1人称」で考えなければならない時代は今やって来たのではなく、すでにやって来
ていたはずです。バブル経済やその崩壊で制度の再構築がずいぶん遅くなってしまい
ました。自己責任という言葉が強調されなくなったときに、自己責任の時代になった
と言えるかもしれません。
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