Q.法改正過渡期の条文集対処法は?知的財産法の分野では、毎年のように法改正が行なわれています。改正法の内容自体はLECでも順次解説していますし、法改正の説明会なども充実してきているため、以前に比べると改正法の情報がなくて困るということもなくなってきていると思います。しかし、受験生にとって一番悩ましいのは、条文集が法改正に追いついてこないということではないでしょうか。 (1)新旧対照条文を打ち出す法改正が行われると、法案の提出時に添付される資料が明らかになります。 「概要」「要綱」「法律(改め文)」「理由」「新旧対照条文」「参照条文」の5つの資料です。 昔はこれを手に入れるのが一般の受験生には難しかったのですが、今ではそれらのPDFファイルが役所のHPで簡単に手に入るようになりました。 資料の内容を順に説明すると以下のようになります。 「概要」とは、今回の改正の目的やおおまかな内容をかいつまんで、(審議する議員にも)分かりやすく説明したものです。 「要綱」とは、今回の改正でどの法律にどのような改正内容が行われるかを法案ごとに説明したものです(各規定内容について末尾に「第○○条関係」と明記されているので、改正本が出版される前でもある程度の内容をこれで理解することができます)。 「法律(改め文)」と「理由」は、特許庁のHPでは、いっしょのPDFファイルにされることも多いです。 「法律(改め文)」とは、条文に具体的に改正される内容が記載されたもので、「第○条の「△△」を「××」に改める」といった具合に説明されていますので、「改め文」と呼ばれることもあります。 ただ、変わる部分は目次から経過措置までと、非常に細かく載っているので、頭からチェックしていくことは受験生にとっては時間の無駄でしょう。「理由」は、法案を提出する理由のことでPDFの一番最後に載っていますが、「概要」において説明されていることの繰り返しも多く、あまり利用することもないでしょう。 「新旧対照条文」は、ページを縦にニ段組にして、上部に「改正案(新)」下部に「現行法(旧)」を記載したものです。 改正部分について傍線が引かれているのでビジュアル的にも非常に使いやすいものとなっています。 なお、まったく新規の法律の場合には、新旧対照条文はありませんので、注意してください。 「参照条文」とは、改正によって影響を受ける条文、改正の根拠となる条文など、改正に関係する条文を列挙しているものです。 直接的には改正されていないが改正の影響を受ける条文をチェックするのに使えるのですが、 通常の場合改正には複数の事項が含まれているにもかかわらず、ここには条文順に全部まとめて掲載されているので、 初心者にはどの改正事項に影響のある条文なのかがわからないという難点があり、使いにくいと思います。 したがって、参照条文は、無視してしまっても構いません。 これらの資料のうち、「新旧対照条文」のPDFファイルをプリントアウトします。 (2)現在持っている条文集を修正する打ち出した新旧対照条文に基づいて、現在持っている条文集を修正していきます。改正の態様には、「削除」「追加」「修正」という3通りが考えられます。 削除部分は、上部に条文がなく「削る」とか「削除」とか記されており、下部に掲載された条文にはすべて傍線が入っています。 追加部分は、下部に条文がありません。下部に「新設」と書かれていることもありますが、特許庁のHPに掲載されている新旧対照表には記載されていないことが多いようです。上部の新規条文にはすべて傍線が入っています。 修正部分は、上下ともに条文があり、修正された部分にのみ傍線が入っています。ただし、書き換えだけでなく、部分追加・部分削除といった修正もありますから、上下を見比べていくことが必要です。 a)削除部分まず、削除部分は、そのまま削除してしまえばいいので、簡単です。ただし、若干のコツがあります。それは、縦線や斜め線を引く程度にとどめておいて、塗りつぶしたりしない、ということです。 塗りつぶしてしまうと、改正前の条文がまったく読めなくなってしまいますが改正法の勉強をしていると、意外と改正前の条文を参照する必要が出てくることがあるのです。改正されるということは、改正前の規定に何らかの不都合があるためであって、改正の趣旨を勉強するときに前の規定があるとより分かりやすいということがあるからです。 b)追加部分・修正部分これらの部分は、条文にチェックを入れる程度にとどめておきます。 条文番号のように短い文章しかないのであれば、追加文言・修正文言を入れてもかまいませんが、あくまでも、この条文チェックは新しい条文が発行されるまでの暫定的なものです。新しい条文を買わなくてもいいようにしっかりと文言を入れて作ってしまおうとすると時間の浪費になってしまいます。 チェックの入れ方は、例えば、10条の2が新設されたのであれば、「10条」と「11条」の間に「>10の2」などと一目でわかるように挿入するのがよいでしょう。スペースに余裕があれば、新設条文の場合は、条文に()で付されている「条文タイトル」を入れるのもよいでしょう。 スペースのない場合には、条文の改正箇所に単に「>」を挿入するだけでいいと思います。この場合、分かりやすく赤ペンにしておくのも一つの手です。 そして、後述のように新旧対象条文も条文集といっしょに持ち歩くようにして随時参照するようにしてください。講義では情報はできるだけ一つのものに集約しておくことと教えられていると思いますが、この措置は新条文集が出るまでの暫定的な措置ですから、情報がある程度分散してしまうことは致し方ないと思います。 c)その他見落としやすいのが、実用新案法、意匠法、商標法などで特許法を準用している条文です。 特許法について改正が行なわれた場合、特許法の条文をそのまま準用するという点では何らの改正も行なわれていないので、新旧対照条文には、実用新案法、意匠法、商標法の規定は載っていないのです。 四法対照条文集を使用している方は、この点が漏れることはないでしょうが、通常の条文集を使用している人は見落としがちなので注意が必要です。 とはいっても、準用規定は中上級者レベルの事項でもあり、初級者はまず基礎をしっかり学習することが重要ですから、それほど気にしなくても結構です。 なぜなら、本当に重要なところは講座で説明したり短答答練などで出題することになりますから、そのときに学習しておけば試験対策としては十分だからです。 (3)新旧対照条文だけをまとめて、条文集とともに携帯する複数回にわたって改正が行なわれることもありますので、その場合には、新旧対照条文を1冊にまとめて通しの頁番号をつけておくのがよいでしょう。 そして、条文集のチェック部分にその頁番号を記載しておくと、新旧対象条文をすぐに引くことができます。 (4)その他施行時期も重要です。改正によっては、公布された年の翌年よりも遅くに施行されることもあります。 翌年の試験の出題範囲に含まれるかどうかは、試験の実施される年の4月1日時点で施行されているかどうかが、基準となりますから、 改正解説書や新条文集には掲載されているにもかかわらず、翌年の試験には出題されない改正内容が存在するという改正もあります。 したがって、まず最初に施行期日がいつかをチェックしておくことが大事です。 ただ、公布された日から1年以内などというあいまいな施行日となっていることもあるので難しいところです。 (5)最後に改正条文のチェックは、その作業だけでもある程度の勉強になります。自己の学習レベルと照らし合わせて、やりすぎないように注意さえしておけば、 今後の学習効率がかなり上がるので、なるべく早めに、できれば試験終了直後の夏のうちにやっておくのがいいと思います。 |
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||