阪神優勝?!日本シリーズもダイエーホークスの優勝で幕を閉じ、なにを今更、という感じではありますが、各報道で興味をもたれた方も多いであろう「阪神優勝」の商標登録の一件について今一度検討をしてみたいと思います。 「阪神優勝」の商標は拒絶されるべきであったまず結論から言ってしまえば、これは過誤登録だと思われます。 それはほとんどの人が、阪神球団以外の者に対しあのような商標の登録を認めることに「それはまずいだろう」という感覚を抱くことからも明らかだと思います。 では、その「まずい」という感覚を正当化させるために、法律論を構成しなければなりませんが、これがなかなか厄介です。 したがって、「阪神」については産地、販売地の表示、「優勝」については品質表示であるから、3条1項3号により拒絶(審査基準上、実務上は3号に該当する複数の商標が結合された場合も3号が適用されます)としてしまってよいでしょうか?しかし、この解釈には問題があるでしょう。 それはこの「阪神優勝」という商標を目にしたとき、「優勝」という文字が後ろに結合されていることから見て「阪神」の語はプロ野球球団である阪神タイガースの略称であると判断し、 商標を見た者はおそらく「阪神タイガースが優勝したこと」として観念的に一体に捉えて、分離観察をしないであろうからです。 では、どこに拒絶の根拠を求めるのが良いでしょうか。 「阪神優勝」という商標は「阪神タイガースがセリーグのペナントレースで優勝する」という事実を表しているに過ぎないから、 識別力がないと考えることもできるでしょう。その場合、根拠条文はどこに求めましょうか。挙げるとすれば識別力に関する総括規定である6号になるでしょう。 ただ、今回のケースでは出願されたのは単なる文字商標ではなく、縞模様の図形と結合させた形で出願されていますから、3条1項6号の適用も難しいように思われます。 3条で処理できなければ4条に行くしかありません。4条1項において根拠条文になりそうなものが8号です。上で述べたように「阪神優勝」の「阪神」を多くの者がプロ野球球団として著名である「阪神タイガース」の略称であると把握するのであれば、4条1項8号にいう「他人の名称の著名な略称を含む商標」に該当することになるからです。「含む」とあることから、今回のケースのように図形が結合されていてもその適用に問題はないでしょう。 したがって、世間を騒がせた「阪神優勝」の商標は本来4条1項8号により拒絶されるべきであったと思われます。 (LEC専任講師 山田武史) |
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