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弁理士実務家インタビュー 池本和博

弁理士実務家インタビュー 池本和博

発明を把握する力

-池本和博- 富士通株式会社 知財部

弁理士を目指したきっかけ

最初に知財と関わったのが前職のシステムエンジニアをしていた頃で、プロジェクトで知財を担当していました。その頃から知財というものを簡単には知っていましたが、それほど深く精通している訳ではありませんでした。父親が特許事務所に勤めている関係で、「弁理士になった方が良い」と薦められてはいましたが、資格取得までは大変だと思ったので特に目指そうとは考えていませんでした。

その後、勤務先の会社がある特許の係争に関わりまして、その時にいままで漠然と知っていただけの知財が急に意味のあるものという実感が湧きました。特に事業における特許の意味を実感して、専門的に関わりたいと思い、弁理士試験を受けてみようと考えるようになりました。

現在の業務

主に電子デバイス関係の出願や中間処理を担当しております。現職と前職で技術分野が違いますので、必要とされる知識が全く違います。現在の業務に必要な知識は、主に明細書を見て、そして発明者との会話を通して習得しています。必要があれば書籍やインターネット等いろんな方法で知識の補強をしています。発明者に質問する時は、事前にその発明の解らない箇所をポイントとしてまとめたり、用語の意味を調べたりと、その発明を正確に把握できるよう準備してから聞くようにしています。

発明者と会話しているうちに、当初とは異なる発明のポイントが見つかることもあり、がらっと変わる内容で出願するということもよくありますが、とにかく、何が発明のポイントなのか、「発明を把握する力」はこの仕事では本当に必要だと思っています。

弁理士の魅力

企業での弁理士の魅力というのは、人それぞれだったり、企業によっても変わりますので、ちょっと答えるのが難しいです(笑)。一般論でお答えしますと、まず弁理士という国家資格は、企業で直接使う・使わないに関らず、知財に関する知識が一定の水準の達した証明にはなると思います。

あとは、これは資格の有無は関係ないかもしれませんが、企業と事務所の違いでお話しますと、企業の知財部門は出願や中間処理以外にも色々な仕事をやっています。例えば、事業を行っている部門へ行って発明の抽出を行う、事業の内容をヒアリングしてパテントマップ等で可視化して知財戦略を考える、現場の方の教育、契約などの知財問題の対応、特許権侵害回避調査、権利行使、ライセンス交渉、特許プール関連業務、権利の維持判断、発明の評価、思いつくだけも結構あります。おそらく特許事務所に勤務にしているとあまりかかわることのない業務もあるかと思います。そういったことが好きな方にとっては、企業の知財部門で働くことは魅力的だと思います。

また、出願や中間処理についても、企業の知財部門の場合は自社の事業においてプラスになるのか、事業を適切に保護するにはどういう特許であるべきかなど、自分たちの利益という視点が必須となります。その後に特許になって実際に活用されて、自社の収益に貢献したとか、事業部門の人に喜んでもらえたというのは、やはり企業にいないと体験できない経験かもしれません。あと、企業内弁理士ですとライセンス交渉その他の渉外的な業務においても、交渉相手にたいして一定の信頼といいますか、ちゃんと交渉できる相手だなという心象を与えられるようです。外資系では基本的に弁理士か弁護士の有資格者が交渉相手で出てくると聞きます。

あと、これも伝聞で申し訳ないのですが、知財部は人気部署で開発経験者やSE経験者、営業経験者の方々が希望をされますが、資格があるとその希望が叶いやすくなるという話も聞いたことがあります。

印象に残った仕事

現場の知財の担当者から「今度販売する製品と、他社の有する特許について確認して欲しい」という問合せを受けました。調べてみますと、その特許には請求項が数十個ありまして、一つの請求項の中にはいくつか構成要件があるのですが、(侵害かどうか判断するためには)その構成要件に該当するのか否かを1つ1つ対比させる必要があったので、結構大変でした。まずどこまでが権利範囲かを把握しないといけませんので、請求項に書かれている文言はどういう意味なのか、明細書の記載やその特許の出願人が意見書でどう言っていたのかを確認しました。「侵害のおそれがあるかもしれないけれどもよくわかりません」とかそんないい加減な状態で製品を出すということはありえませんから、とにかく詳細に調べて正確に判断しなければなりません。

調査が大変だったのは対象の製品のせいもあるのですが、その製品がソフトウェアで、外から見ているだけではどうにも解らない箇所がありまして、ソフトウェアには当然ソースコードがありますのでソースコードまで遡って徹底的に調べました。構成要件に書かれている処理に近い機能はどの関数なのかとか、この関数の中で使われている変数はどういう意味で、どういう値が入っているからどういう動きをしているのか等実際の処理を想定しながら、先ほどの構成要件にあたるのかどうなのか確認するわけです。

そして、調査が済んだ所で「製品として安全です、侵害していません。」と他の人が解るように説明用の資料を作成するのですが、ソースコードをそのまま示しても意味がありませので、わかりにくいところはイラストを書くということもしました。

そういった経過をふまえて製品としてお客様に使用してもらえているというのは感慨深いですね。

今思い返しても大変だったのですが、弁理士試験受験中の講義の中で学習した知識とリンクして、行なっていることの意味を理解しながら進めることができたので、一見面倒にも思える調査も「手を抜けないな」と思えて最後までできたのではないかと思います。

今後の目標

池本和博

今後はまず、仕事のスピードを上げるということと品質を高くというのが当面の目標ですね。品質というところも、ただ単に「(無効になりにくい)強い特許」を取るということだけでなく、「事業で使える特許」という判断も出来るように、技術的・ビジネス的な能力を高めていかなければと思っています。後は、明細書は文言が特殊なので、どう書けばよいのか、その文言に対する理解と上手くそれを表現する為のテクニックを高めていく必要があるなと感じています。

また、長期的な目標として、海外の事業展開にも知財のサポートとして携わっていきたいですね。その為に、各国の法制や外国語、その国のビジネス習慣など、多岐に亘る知識を修めていかなければいけないと考えています。夢が大きいのか無謀なのか良く解りませんが・・・(笑)

ただ、弁理士の資格もそうなのですが、どんな資格も取得することは入り口に立つということで、その後は自分が進む方向に向けて勉強を続けていかなければならないと思っていますので、ともかくいろいろ勉強は続けていきます。

これから弁理士を目指す方へ

既に知財の業界にいらっしゃる方は状況をご存知だと思いますので、とにかく頑張って下さい!特に試験制度が大きく変る話も聞きますので、勉強を始めた方はなるべく早く合格されるよう頑張ってください。また、今後知財の業界を目指される方は、取得後のプランを現実的に考えて学習を開始されるのが良いかと思います。国内の出願件数が頭打ちの状況ではありますが、それでも知財の世界に魅力を感じる方は、その高いモチベーションを早く実務の世界で活かして頂きたいと思います。

「経済と産業の発達に寄与する」という使命を背負った弁理士としてお互い頑張っていきましょう!

弁理士実務家インタビュー
竹下敦也 CABINET PLASSERAUD(キャビネ・プラスロー)フランス 日本国弁理士 鮫島正洋 内田・鮫島法律事務所 代表パートナー/弁護士・弁理士 龍華明裕 RYUKA国際特許事務所所長/弁理士/米国弁護士 岩井優子 つばさ国際特許事務所/弁理士 池本和博 富士通株式会社 知財部 鍋島康雄 エリーパワー株式会社 知財部 前田大輔 小西・中村特許事務所 小林奈央 TMI総合法律事務所

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